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ごはんの時間





「あ、あの…さっきから気になっていたんですが、それは一体……」



彼の隣でビチビチと跳ねている巨大魚に震える指で差し向けるリファ。


ラディッツが抱えていた大きな物の正体である。


見た事もない生き物だったのか、奇妙だと警戒せんばかりに少し距離を置き、顔を引きつらせている。


するとラディッツは、近くにある少し細めの幹を丁度良いサイズにカットし、それを巨大魚の口から尻尾へと突き刺した。



「…何って…メシだ。腹が減っていると言ってただろ?こいつにも毒はない。食える筈だ」



そう言うなり、彼がリファの方に向けて投げたのはピンク色の瓢箪のような果実。


とても口に入れる気にはなれないグロテスクな色合いだ。本当に毒はないのだろうか。


投げられたそれを受け取ると、リファは大層驚きの表情を浮かべた。



「も、もしかして…私の為に…ですか?」


「…何だその顔は。不満なら別に食わなくても構わんぞ」



彼女のあまりの驚きように、ラディッツはムッとした。



「いや!食べます!こちらの大きな生き物も謹んで頂戴致します!うおわあぁぁっ!」



慌ててその巨大魚にしがみついた直後、まだ活きの良い巨大魚は大きく跳ね上がる。


突然の事で驚いたリファは、どうすれば良いか分からず、暴れ続ける巨大魚から振り落とされないように、只々しがみ付き続ける。


だが、皮肉な事に魚特有のぬめりが邪魔をして、掴もうとすればツルツルと滑ってしまう。




ーーガシッ!




そのまま振り落とされると思いきや、その直後に暴走は止まった。



「…さっきから何をやっている……」



どうやら巨大魚の尾ひれは、ラディッツによりガッシリと受け止められたようだ。


そして、もう片方の腕には振り落とされ、宙へと舞い上がっていたリファがしっかりと受け止められている。


ここまでの時間は約0.05秒といったところだろうか。尋常ではない程のスピードである。



「す、すみません…ありがとうございま…どぅわあああ!」



助かったと安堵の表情を浮かべるリファだが、今の状況を改めて認識した途端、顔がボッと赤くなった。


今の状況、それはラディッツの顔が至近距離にあるという事だ。



「…なんだ?」


「あ、あぁのっ!もう大丈夫ですので降ろして頂いてもよろしいでしょうか!?」



まともに顔が見られず、ギュッと目を瞑りながらそう訴える。


何とも言えない動揺が溢れ出ている。



「フッ……」



その慌てぶりを見ておかしく感じたのか、ラディッツはクスッと笑いながら彼女をゆっくり地面に降ろす。


これで解放されると、誰もが思った事だろう。勿論本人もそう思っていた筈だ。




ーーくいっ



「なっ……」



ラディッツはリファを降ろした途端に、彼女の顎を持ち上げたのだった。



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