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ここにいる理由





「お前…何故まだ此処にいる?」



地上へ降り立つなり、ラディッツは何故逃げなかったのだと怪訝そうな面持ちでリファに問う。



「…ここが一番安全なんです」


「なに!?」



予想外な返答に、ラディッツの眉がピクリと動く。


リファ曰く、今此処を離れたとしてもこの星の事を全く知らない自分には何も出来ない。寧ろ、危険が更に増すだけである。


そのような無謀な行為に出るよりも、見知った者の近くに居た方が何倍も安心していられるのだという。



「はあ…随分とナメられたものだな…このオレも……」



人質の口から緊張感など微塵も感じられない言葉ばかりが飛び出るのは、やはり自分に迫力がないからだろう。


戦闘民族がこの様では何の立ち場もない。だが、それでもラディッツはリファに手を出そうとはしなかった。


いや、出せなかったのかもしれない。



「あ、あの…ラディッツさん、さっきはすみませんでした……」


「…あ?」



突然頭を下げるリファを見やるが、何の事か全く分からず、眉間にシワを寄せるラディッツ。



「…私、貴方達サイヤの人達の事を全て分かったように言ってしまったので…その…お気を悪くさせたんじゃないかって……」



服を握り、服と服を擦り合わせながら遠慮がちに話すリファ。



「…だが、お前は惑星ベジータの事や同業者の事まで知っていた。それは事実だ。そうなればオレも反論は出来ん」



だが、ラディッツはリファに向かって怒る事はなかった。


寧ろ、自分自身もサイヤ人の事はよく分からない事もあるのだという。


それが本当の事なのか、ただ彼女を庇っているだけなのか、無愛想なその表情からはよく読み取れない。


だが、悪意は感じられなかった。



「いえ…私は…惑星ベジータの消滅をこの目で見ていたわけではないんです…数百年間の眠りの中で知った事で……」


「…どういう事だ……?」



ーードスンッ!!

「うわあっとっと!!」




リファの話を詳しく聞こうと、抱えているものを一旦地面に置いた途端、鈍い音が辺りに響き渡る。


あまりに巨大なものだった為に、地面が激しく揺れ、リファはよろめき転んでしまいそうになった。



「す、すみません……」



危機一髪でラディッツに肩を支えられ、何とか危険は回避できた。


だが、彼女を待ち受ける危険はこれだけではなかった。



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