決意と共に
悟空とラディッツには、アトラス聖霊達と同じような末路を辿って欲しくない。
共存し合うべき人間達に、そのような辛い体験をさせるわけにはいかない。
そして、彼らには惑星ベジータで起こった真実を伝えなければーー。
リファは埋めていた頭をゆっくり上げ、その場で立ち上がった。
感情を自由に表現出来る人間ならば、命ある限り互いの関係を修復する余地はまだ残っている筈だ。
「…やるしか、ないよね……」
どんなに嫌な顔をされても良い。
余計なお世話だと突き放されても、リファは彼らとしっかり向き合う事を選んだ。
「…悟飯くん、ゴメンね……もう少しだけそこに居てね……」
再び宇宙船に手を添えるなり、リファはその中で眠っている悟飯に話しかける。
そして、微かに笑いかけると、元居た場所へと戻って行った。
ーーヒューーーン!!
「あ!あれは……」
空の向こうから、何かがこちらに近付いて来ている。
まだ豆粒程しか見えない距離で、姿までは確認出来ないと思われるが、彼女には何となく分かったようだ。
「やっぱり…来てくれた……!」
「おーい!ラディッツさーん!」
そう、こちらへ向かっているのは、先程リファ達を置いて飛び去って行ってしまったラディッツだった。
彼女は、嬉しそうに両手を大きく振り始めた。だがその途中、何か違和感を感じ、その手がピタリと止まる。
それは、ラディッツの身体にしては少し大きいのではないかという事だ。
不思議に思ったリファはゴシゴシと両目を擦り、もう一度その方向を見つめた。
するとーー。
「…な、なに…アレ……」
どうやらその原因が分かったようだ。彼女はポカンと口を開けながら、しばらくの間その方向をじっと見つめていた。
その人物は、リファの予想通りラディッツに変わりはない。
だが、その時の彼の姿はとてもサイヤ人とは思えない、似ても似つかぬものだった。
一方、ラディッツはーー。
「…な、なんだアレは……」
飛行途中で、遠くから手を振る衝撃的な姿を発見し、思わず目を見開いてしまう。
何故まだ彼女がそこにいるのか、全く理解出来なかったようだ。
「…いくらでも逃げられるチャンスはあった筈だ…なのに何故……」
盛大な舌打ちの後、気の抜けたような溜め息が漏れる。
本当は、あの時引き返してリファ達を始末しておこうと考えていたようだ。
だがそれをせずに、リファ達が遠くへ逃げられるよう、十分な猶予を与えていた。
にも拘らず、何故彼女達は逃げようとしなかったのかーー。
「…よく分からん奴だな……」
モヤモヤとした気持ちを抱えながらも、そのまま地上へ降りて行った。
巨大な何かを担ぎながら。
、
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