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空回り




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「もが…もがもがっ!」



(今の音何……?気になるけど暗くて何も見えないっ……!)



一方、リファは未だ乗り物の中に取り残されたままだった。


今の衝撃により、慌てて出て行く男達の声が聞こえた為、気になって仕方がないようだ。


逃げるには絶好のチャンスと言える状況だが、手足の自由が効かない。


だが、試行錯誤を繰り返した結果、芋虫のように地面を這いながら進む事に成功した。


だが、目が見えない為にどこへ進めば良いのか分からないのが難点である。どの方向が正しいのか悩み、その場をクルクルと回る。


すると、突然フワッと身体が浮く感覚に襲われた。



「ーーっ!?」



視覚を奪われている為、再び恐怖が押し寄せてくる。



「…おめえ、何でそんな芋虫みてえな格好にされてんだ?」


「もがもが…っ!」



先程まで離せと言わんばかりに暴れていたが、聞き覚えのある声だという事に気が付いた途端、ピタリと止まった。


悟空は一旦彼女を下ろすと、目と口、手足の全ての拘束を解いた。



「ケホッ…ケホッ!悟空さん、また助けて頂いてすみません!」



自由に会話が出来るようになると、リファは咳き込みながら、真っ先に悟空に向かって頭を下げた。



「ああ、気にすんな!それより大ぇ丈夫か?神さまんとこ行ったらおめえ、居ねぇからよ…オラ、すげぇ心配ぇしたぞ」



リファを拘束していたロープや布を放り捨てると、悟空はその場で屈み、咳き込む彼女の背中をさすった。


悟空曰く、地球の神にリファがどこへ行ったのか問うてみたが、下界へ下りたという大まかな事しか教えて貰えなかったという。


だが、それだけではリファを見つけるのは難しい。地球のどこに居るのかという詳しい情報が必要だった。


止むを得ず、悟空は仙猫カリンを訪ね、下界の様子を見せて貰い、リファの姿を見つけるなり、大急ぎでやって来たのである。


今までリファの姿は、カリンの壺に全く映し出されなかったが、現在はアトラスのオーラを失い、ほぼ人間に近い状態と化している。


恐らく、壺に映し出されたのはそれが原因だろう。



「…カミサマは悟空さんを呼んで下さると気遣って下さったんですが、私が断ったんです。すみません…」



悟空に負担をかけさせないようにと考えたつもりが、返って彼を振り回してまったようだ。


そんな空回りな自分に、無力な自分に嫌気が差したリファは、申し訳ない気持ちでいっぱいで、頭を上げる事が出来なかった。



「…おめえ、いちいち気にし過ぎだぞ!もっと気楽になんねえと疲れんじゃねえか?」



だが、リファが思っている程、悟空は気にしていなかった。彼自身、何故謝られているのかさえも分からないようだ。


悟空がリファの頭にポンポンと手を置いた事により、その話は一瞬にして終了した。



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