[携帯モード] [URL送信]
人混みに流され




******



「おおう…まだ居る…困ったなあ…」



そんな事があって、見つからないように大急ぎで路地裏に入り込んだわけだである。


だが、壁と壁の隙間から見える表通りを覗いてみると、先程の男達がリファを求めて未だ周辺をウロウロしている。


これでは出ようにも出られない状態だ。


好かれるのは有り難い事だが、今は足止めを食らっている場合ではないだろう。



「どこか……抜け道とかないのかなあ……」



辺りを見回すが、殆ど家で連なっている為、抜け道と呼べる場所が見当たらない。唯一あると言えば、家の屋根を一つ一つ飛び越えて行く事だろう。


だが、今の彼女の身体は人間とほぼ変わらない。そのような人間離れした行動は難しいと言える。


だからと言って、いつまでも此処に居るわけにもいかない。



「……よし!」



リファは袴の帯をキュッと締めるなり、再びリュックを背負い直す。


そしてーー。



(見つかりませんように……!)



どうやら強行突破するつもりのようだ。そーっと物音を立てずに、辺りを警戒しながら、路地裏から出て行く。



「…………っ!」



恐る恐る路地裏の壁から顔を出す。


幸いな事に、辺りは何かの騒ぎによりごった返している。リファが出て行っても目立たない程の人混みだった。



(これなら行ける! )



そのままその人混みに混じり、表通りに出た。


人の波に流されながら、どんどん進んでいく。早くこの町から出たいというのが、彼女の本音だ。


そして、町の出入り口を主張するアーチが見えてきた。ゴールまであと僅か。



「はひぃ〜…な、何とか抜けられた」



アーチをくぐり抜け、リファはホッと胸を撫で下ろした。



[*前へ][次へ#]

11/37ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!