見えない壁
「リファ…か?」
リファの声が聞こえたその先には、長い長い廊下が続いている。
ラニアは大急ぎで向かった。
そして、廊下の果てが現れると同時にリファの姿も見えてきた。
「リファっ!これは一体どういう状況だ!?他の奴らはどうしたんだ!?」
「ラニア!それ以上近付いちゃダメ!」
リファは、何も知らず自分の方へ駆け寄ろうとするラニアに向かって叫んだ。
両手を前へ突き出し、それ以上近付く事を阻止した。
その手が二人の間の空間に微かに当たり、七色の波紋を作った。
それを見たラニアは納得したように頷き、苦笑を浮かべる。
そして、リファが作った波紋をなぞりながら彼女に問うた。
「カルボナの奴だな?お前を此処に閉じ込めやがったのは…」
「…うん……」
ラニアにそう問われ、リファは力なく頷いた。カルボナというのは、彼女の上司の事である。
熟練のGZならば、誰がかけた術なのか、簡単に感じ取る事が出来るらしい。
そして、その力を解除する事も容易い。
ーピッシャンッ!
忌々しく張り巡らされていた結界は、ラニアが赤いオーラを纏った指で触れた瞬間に強く波打ち、やがて弾け飛んだ。
「ありがとう!さすがはラニア大先生!頼りになるよ」
ようやく解放され、リファはヘナヘナと力が抜けてしまい、その場に座り込んだ。
「当然だ。オレはGZだからな」
「…うぅっ!それ…私も言ってみたいのに……」
「…しかし、いくらお前が悪いとは言え、仕置きにしてはやり過ぎだと思うけどな…」
リファの発言を軽くスルーし、ラニアは辺りを見回し異変がないかを確認し始めた。
リファを閉じ込めなければならない程の事があったのだろうかと、かなり警戒している様子。
だが、本来全く足を踏み入れる事のないAC課の事務所だ。普段とどこが変わっているのかなど、分かる筈がない。
「リファ…何があったか、説明出来るか?」
ラニアは、リファと目線が合うように膝をつく。
すると、リファは持っている一枚の紙を握り締めながら、ゆっくりと口を開いた。
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