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おかんからの手紙






「えっと…まずは端書きからね……」



中を開けてみると、端書のような文が記されている。


そこにはこう書いてあった。





リファへ


この書を開いたという事は、やはり難題という壁にぶち当たったのであろうな?


だが案ずるな。この書を読みさえすれば、きっと前へ進めるだろう。


リファよ……

おぬしがこの星の為にここまで必死になってくれる事、本当に感謝しておる。


だが、そう気に病むでないぞ。おぬしの周りには支えとなる仲間が居る。


苦しい時、どうにもならない時は彼らを頼るのも一つだろう。


地球の暮らしは慣れない事も多々ある筈だ。そのような時はいつでも天界に帰ってくるが良い。


おぬしの故郷を復活させるまでの暫しの間だ。それまでは、天界を己の故郷だと思って貰えれば幸いなのだがな。


では最後に、己の身体を常に気遣うようにな。決して無理をしてはならんぞ。


異変を感じたら、直ぐに帰って来ると神に誓うのだ。良いな?



地球の神 





「……な、何か…田舎のおかんからの手紙みたい……くっ!前が霞んで見えん……!」



まるでリファ宛てのメッセージのような端書きに、彼女は強く胸を打たれたようだ。


だが、くるりと後ろを振り返り、群がる野次馬達をキッと睨み付けた。



「いや!違うぞ!これは感動しているんじゃない!その…アレだ!目にゴミが入っただけだぞ!」



くわっとそう断言するが、その直後に鼻水がタラッと垂れ落ちる。



「……………」



その様子を、野次馬達はジト目で見ている。


そんな重苦しい空気に耐えられず、リファは黙って前に向き直ってしまった。


そして、そのまま知らぬ顔で服の袖で両目を擦り、垂れ落ちた鼻水をチリ紙で拭き取った。


だが、その余興もこれまでだった。



「…え…ちょっと待って……」



パラパラと次のページをめくっていくリファの手が、しだいにプルプルと震え始めた。


新たな問題にぶち当たったようだ。


もう一度言おう。この冊子は下界で起こり得るだろう様々な問題を解決する為に、地球の神が特別に用意したものだ。



だがーー。






端書きの後が真っ白なんですけど!?



そう、書かれているのは端書きだけで、その先は何も書かれていなかった。



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