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無反応な機械



*******



「…何てことだ…あの程度の力のヤツも始末しておらんとは…我が一族の誇りを失ったか……」



長髪の男はブツブツと呟きながら、空中を高速で飛んでいた。



「どのみちヤツを連れ帰らねばならん…己の使命を果たすよう、制裁を与えてやろう…」




 まあ、心配ない。

 きさまの誇りは

 オレが取り戻させてやる…


 全宇宙一の強戦士

 サイヤ人の誇りをな……



「……クク…久しぶりの再会だ。成長ぶりを見せて貰うぞ、カカロットよ!」



そう言うなり、彼はニヤリと笑うと、グンとスピードを上げた。




「ーーっ!?」



だが次の瞬間、その笑みが消えるような事態が起きてしまった。



ーーピタッ!



男は空中で止まり、辺りを見回す。額から妙な汗が流れている事から、何か良からぬ問題でも起こったのだろうと思われる。



「……な、何だこの感覚は……」



左耳に装着している機械のスイッチを押してみるが、何も反応がない。



「スカウターの反応がないだと…?妙だな……」



左耳に装着しているスカウターを何度も弄るが、全く反応しない。


先程までの余裕はどこへ行ってしまったのだろうか。男は未だ辺りを見回し、警戒している様子。


本来なら、スカウターで微量の戦闘力をも計測する事が出来る。


だが今は違う。スカウターの反応がなく、妙な感覚だけが伝わってくるのだ。



「……故障か?いや、まさかな……」



男は、スカウターを左耳から外そうとした。


その時ーー。



《おい、貴様…何をモタモタしている?任務中の筈だが…?》



スカウターから何者かの声が聞こえた。声の調子からすると、まだ若い男のようだ。



「…実はこれから星へ向かうついでにもう一人のサイヤ人、カカロットを連れていくつもりでして……」



あれ程の力を持ったこの男が、スカウターから聞こえる声の主に対し異常に畏まっている。


余程の力を持つ者なのだろうと思われる。



《フン…そんな事は既に承知している。何をしようが貴様の勝手だが、オレの足だけは引っ張ってくれるなよ…》



それだけを言い放つと、声の主との通信がブツッと切れた。



「……このままでは埒が明かんな…とりあえずカカロットを先に探すか……」



スカウターの反応を頼りに、彼は再び行動を開始した。



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