無反応な機械
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「…何てことだ…あの程度の力のヤツも始末しておらんとは…我が一族の誇りを失ったか……」
長髪の男はブツブツと呟きながら、空中を高速で飛んでいた。
「どのみちヤツを連れ帰らねばならん…己の使命を果たすよう、制裁を与えてやろう…」
まあ、心配ない。
きさまの誇りは
オレが取り戻させてやる…
全宇宙一の強戦士
サイヤ人の誇りをな……
「……クク…久しぶりの再会だ。成長ぶりを見せて貰うぞ、カカロットよ!」
そう言うなり、彼はニヤリと笑うと、グンとスピードを上げた。
「ーーっ!?」
だが次の瞬間、その笑みが消えるような事態が起きてしまった。
ーーピタッ!
男は空中で止まり、辺りを見回す。額から妙な汗が流れている事から、何か良からぬ問題でも起こったのだろうと思われる。
「……な、何だこの感覚は……」
左耳に装着している機械のスイッチを押してみるが、何も反応がない。
「スカウターの反応がないだと…?妙だな……」
左耳に装着しているスカウターを何度も弄るが、全く反応しない。
先程までの余裕はどこへ行ってしまったのだろうか。男は未だ辺りを見回し、警戒している様子。
本来なら、スカウターで微量の戦闘力をも計測する事が出来る。
だが今は違う。スカウターの反応がなく、妙な感覚だけが伝わってくるのだ。
「……故障か?いや、まさかな……」
男は、スカウターを左耳から外そうとした。
その時ーー。
《おい、貴様…何をモタモタしている?任務中の筈だが…?》
スカウターから何者かの声が聞こえた。声の調子からすると、まだ若い男のようだ。
「…実はこれから星へ向かうついでにもう一人のサイヤ人、カカロットを連れていくつもりでして……」
あれ程の力を持ったこの男が、スカウターから聞こえる声の主に対し異常に畏まっている。
余程の力を持つ者なのだろうと思われる。
《フン…そんな事は既に承知している。何をしようが貴様の勝手だが、オレの足だけは引っ張ってくれるなよ…》
それだけを言い放つと、声の主との通信がブツッと切れた。
「……このままでは埒が明かんな…とりあえずカカロットを先に探すか……」
スカウターの反応を頼りに、彼は再び行動を開始した。
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