扉を開ければ
ーーシャッ!!
地球の神による瞬間移動で、下界らしき世界へやって来たリファ。
一度は降りたものの、生きるか死ぬかの極限に迫られていた為、外界を堪能する事が出来なかった。
だが今回は違う。
新たな外界ライフが自分を待っているに違いない。と、胸を躍らせていたリファであった。
「あ、あれ……?」
だが、彼女の様子がおかしい。到着してからずっと複雑な表情を浮かべ、辺りを見回し続けている。
一体どうしたというのだろうか。
「…カミサマ…ここって、本当にゲカイという所なんです?穏やかな星って聞いていたんですが……」
どうやら原因は、辺り一面コンクリートで埋め尽くされた場所にあったようだ。
このコンクリートで作られた厚い壁が何だか隔離されているようで、息が詰まるような場所だと、リファは不安になったらしい。
「案ずるでない。ここの扉を開けさえすれば、世界が変わる」
街のど真ん中に突然人が現れれば、地球人達は喫驚(きっきょう)し、得体の知れない者が現れたと、リファが悪目立ちしてしまう。
それでなくても彼女の存在はかなり目立つ。地球人に絡まれたりすれば大変だ。
よって、地球の神が非常階段の踊り場という場所を選んだのも、彼女を極力目立たせないようにする為であった。
「確かに、今までなかったものがいきなり現れたらびっくりしちゃいますね……」
地球の神の密かな配慮に、リファは有り難みを感じたようだ。
「地球人と同じように行動してさえおれば何も問題はない。だが、念の為これだけは申しておくが、地球人は皆孫悟空のような強者ではない。それを忘れるでないぞ」
「え…チキュウの人達って空飛べたり、何もしなくても地面を割ったり出来るんじゃ……」
「うむ…おぬしは下界で初めて出会ったのがガーリック達であったからな…無理もないが……」
リファの地球人への過大評価に対し、地球の神は返答に困ってしまった。
もし、地球人にそのような力があるとすれば、地球は早くにターゲットにされて滅亡している筈である。
だが、星を守護する身である彼女にそのような事は言えない。
彼女達アトラス聖霊が無力であったと、責めんばかりの発言だからである。
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