出立の時
そして数日が過ぎた頃、いよいよリファが下界へ降り立つ時がやって来た。
「本当におぬし一人で行くつもりか?しばらく此処で待っておれば、孫悟空を呼んでやるが……」
「いえ、私は大丈夫です。そうなると、悟空さんに四六時中お世話になっちゃうかもしれませんので、流石にそれはマズいです」
どうやらリファは、一人で下界を見て回るつもりのようだ。
長旅でもせんばかりに、パンパンに膨らんだリュックを背負い直し、早速連れて行ってくれと願い出る。
その荷物の中身は、全て地球の神が彼女の為に揃えたものである。
下界で生きる為の必要性の高い道具などがたくさん入っている。
本来なら、この時代には合わないだろう彼女の服装も考慮すべきだろうと考えたが、本人がそのままで構わないと断った為、予備の服だけを持たせる事にしたようだ。
因みに現在の彼女の服装は、初めて天界へやって来た時と変わらず【緋袴】という巫女装束だった。
西洋造りのアトラス大神殿に、和の正装という組み合わせも、宇宙上のバランスを保つ為のものだろうか。
「大丈夫ですよ!私にはリターンゾーンがあるじゃないですか!」
懐からこれ見よがしに取り出したのは、落書きことリターンゾーンを描く為に使った木の枝である。
「…しかし、おぬしはまだこの星には慣れておらんだろう。今度またいつ倒れるか分からん。極力頻繁に戻る事を約束してくれ。よいな?」
すぐに帰還出来るにしても、何が起こるか分からない。
それに、彼女は悟空の気がなければ生きていけない為に、尚更心配だったようだ。
少しでも異変を感じる事があれば、直ぐに戻ってくるよう、地球の神は強く念を押した。
閻魔大王と同様、地球の神もリファの事が心配のようだ。まるで彼女の保護者的存在となっている。
「分かりました!お約束します!」
神からの頼みに強く頷くリファ。彼女のその言葉信じ、地球の神はやっと下界へ向かう事を決意した。
「それでは、下界へ向かうぞ。しっかり掴まっておれ」
「はい!お願いします!」
地球の神は、リファが自分の服を掴んだ事を確認すると、その場から一瞬にして姿を消した。
、
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