静かなAC課
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「……チッ…!タグラの野郎…変な事言いやがって…」
一方、 タグラとの話の途中で飛び去って来てしまったラニアは、 現在も当てもなく空中を放浪していた。
舌打ちをし、かなり機嫌が悪いようだ。
やはり原因はタグラだろう。いつもの彼らしくない発言に不満を抱いていた。
だが、若干不安もあるようだ。
額から流れ落ちる汗が、それを物語っている。
これから不吉な何かが待っているのではないかとーー。
「………ん?」
ラニアは、ピタリと空中で止まった。
(…微かにリファのオーラを感じる。この近くに居るのか…?)
いつもと違う弱々しいオーラであった為か、彼女の居る方向を正確に捉えると、急ぎ向かって行った。
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そして、着いた場所はーー。
「あそこは…リファの部署じゃ…仕事に戻ったのか?いや…まさかな…」
リファのオーラを辿りやって来たのは、アトラス大神殿の北側に位置するAC課の事務所だった。
だが、しぶとい彼女がそう簡単に諦めるだろうか。
仮にそこに居たとしても、真面目に仕事をしているとは思えない。
何とも失礼な言い方だが、これらこそがリファの事をよく知っているが故の彼の答えだった。
だが、考えているだけでは何も分からない。ラニアはとりあえず中へ入ってみる事にした。
「…リファ?居るのか?」
中の様子をうかがうように、恐る恐る入るラニア。
だが、あまりの静けさに首を傾げ、疑問を抱いたという。
現在宇宙は大混乱に陥っている為、AC課はかなり忙しい筈である。
このような時でなくても、全くの無人は有り得ない。最低何人かのアトラス聖霊は待機しているだろう。
「…何故だ…?こんな時に一人も居ないなんて…あり得ねぇ……」
一人も居ないこの異常事態に、ラニアは胸騒ぎがした。リファに何かあったのではないかとーー。
「リファーーっ!どこだ!?居たら返事しろ!」
大声で彼女を呼ぶが、返ってくるのは自身のやまびこだけ。
相変わらず、辺りはしーんと静寂に包まれている。
「クソッ…!リファーーっ!居ねえのか!?」
「ラニア…居る…此処に居るよ…」
「っ!?リファ…!?」
その時、小さなリファの声が聞こえ、ラニアは勢い良く振り返った。
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