謎に包まれし過去
「す、すごい…そんな小さな頃から星に貢献しておられたとは……」
彼の功績を聞いたリファは益々驚き、感心の眼差しを向ける。彼が強い理由がよく分かったようだ。
同時に、孫悟空という人物がどのような心の持ち主なのかを知る事が出来た。
不思議な事に、彼はアトラスの民が悪く言っていたサイヤ人達のような悪に満ちた心は宿っていないようだ。
地球という平和な星で育った事が関係しているのだろうか。だが、リファも悟空の事はよく知らなかったようだ。
それには決定的な理由があった。
それ程の逸材が存在していながら、今までアトラス界に地球からの情報が全く入って来なかったのである。
リファが配属されていたAC課は全ての惑星を任されていたが、管理だけはどの部署よりも厳重に行われていた。
よって、一つの星の報告書類を丸ごと見落とすなど、まず有り得ない。
とすると、リファの知らないところで何か裏工作でも施されていたのだろうか。
何にせよ、今はもう証拠となるものが存在しない為、ただの憶測でしかない。結局全てが謎に包まれた状態で終わってしまった。
それと、あともう一つ。彼女が疑問を抱く内容があった。
それは、ミスター・ポポが悟空の出生について全く触れなかった事である。
並外れた身体能力、以前は生えていただろう獣の尻尾。これらからして、彼が地球人ではない事は確実だ。
人権を守る為、ただ口にしないだけなのか、それとも本当に悟空がサイヤ人である事を知らないのか。
かなり気になったようだが、もしかすると触れられたくない事なのかもしれない。
他者の秘密を無理にこじ開けるような事はしたくない為、リファはミスター・ポポや本人が自分から話してくれるまで待つ事にした。
とりあえず、今は自分が打ち明ける立場にある。そのモヤモヤを一旦心の中にしまい込み、リファは胸の内を語る決心を固めた。
、
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