本題
「…では、冗談はこれくらいにして、そろそろ本題に入るとするかのう。例の地球にやって来た娘の事じゃったな?」
仙猫カリンは、自身のヒゲを触りながら、本来の話に戻した。
内容は、神龍の光と共に地球へやって来たリファの事である。
悟空の話によると、ガーリックJr.との戦いの際、地球の神は彼に対し、リファの詳しい事は本人に直接聞くように言ったそうだ。
その言葉をずっと覚えていた悟空は、あの後リファがどうなったのか気になって仕方がなかった。
だが、地球の神からは彼女が目を覚まし次第、こちらから伝えると言われていた。
それならば、こちらから下手に動くべきではないだろうと、当事者であるピッコロにも言われた為、動くにも動けない状態だった。
あの大魔王が悟空に耳を貸す程だ。彼もリファの存在が気になるのだろう。
だが、ただじっと待っている程酷なものはない。天界に行けないならと、ふと頭に浮かんだ場所がここ、カリン塔だったのだ。
「…そんで、カリン様なら神さまから何か聞いてねぇかなって思ってさ……」
宮殿の床にドカッと腰を下ろし、腕組みをする悟空。時折落ち着かない様子で天井を見上げ、身体を揺する。
「…ほう、ガラにもなく気になるようじゃな……」
そんな彼のその行為に、カリンは数回頷き、彼に近寄った。意外だという表情を浮かべている。
それは、幼い頃から彼を見てきたカリンだからこそ、分かる事だった。
悟空は、戦いや強い相手以外に興味を持つ事など、一度もなかったのである。
「…いや、何かあいつ…随分と昔にオラと会った事があるような事を言っててさ…でもオラ、何も思い出せねぇんだ」
「ふむ…本当に記憶にないようじゃのう。そりゃよわった問題じゃな……」
地球の神のように、カリンも読心術を使ったのだろうか、全てを見透かしたような言葉を発した。
必死に思い出そうとしているその姿を見るなり、よほど深刻な事なのだろうと思いながら、うーんと唸り声を上げている。
悟空自身も分からなければ、解決のしようがないのだ。
「…ならば、その娘が出会ったとされる人物がおまえによく似ていたのかもしれんな…この世に一人や二人くらいは己と似ている人間が存在するじゃろうに……」
「…いや、ただ似てただけじゃねぇと思う。だってあいつ、オラの気でパワーが回ぇ復し……」
(………ん?)
勢い良く反論しようとしたが、最後まで言い終える前にある事に気がつき、ピタリと止めた。
「なんじゃ……?」
「それだ!それだよカリン様!」
「うぉわあっ!!」
そう言うなり、ガバッと勢い良くカリンの両肩を掴む悟空。その行為にビックリし、カリンはブワッと逆毛を立てた。今ので50年くらいは寿命が縮んだようだ。
「カリン様、天界に連絡って出来っかな?神さまに伝えて欲しいんだ。もしかしたら何とかなるかもしんねぇってよ!」
「う、うむ…わかった。天界へ繋いでやるから、少し待っておれ」
そう言うなり、カリンはヘトヘトになりながら別の部屋へと向かった。
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