仙猫カリン
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「久しぶりじゃのう。随分と大きゅうなったな、悟空よ」
一方、悟空はカリン塔に来ていた。そして、この塔の主は彼の目の前にいる糸目の仙猫、カリンである。
悟空とは幼い頃からの知り合いらしく、現在のピッコロ大魔王の父親を倒す際にも彼の力となった存在だ。
そのピッコロ大魔王を倒し、彼によって殺されてしまった神龍を生き返らせる為に、悟空を天界へと導いたのも彼である。
それ以来、ずっと会っていなかった為、お互い懐かしさを感じていた。
「ははっ!そう言うカリン様はチビのまんまで何も変わってねぇなー」
「…相変わらずデリカシーのないヤツじゃのう…おまえは……」
だが、カリンの表情だけは今の悟空の一言により、一気に曇った。だが、そんな事も構わず、悟空は先々と話を切り出す。
「そんな事よりさあ、カリン様…ちょっと聞きてぇ事があって来たんだ」
「…そんな事…っておまえ……」
彼の「そんな事」という言葉に酷く反応し、ピクピクとヒゲを動かした。
だが、彼も仙猫なる存在。やはり怒りを剥き出しにはしない大きな器の持ち主なのだろう。
溜め息をつきながらも、話を進めた。
「……言わずとも分かっておる。最近地球にやって来た娘の事じゃろう?」
「あ、ああ!そうだ!あのさ、神様から何か聞いてねぇか?」
「フン、わしの事をチビとバカにしおったおまえにはぜーったいに教えてやらんっ!」
あろうことか、カリンはプイとそっぽを向き、子供のように拗ねてしまった。
これは前言撤回すべきだろう。
「そ、そんな堅ぇこと言わねぇで教えてくれよ!ほれ、これやるから頼む!」
言うなり、懐の中に手を突っ込む悟空。何やら先端が柔らかい毛のようなものが見えた。
「バカ者!猫じゃらしごときでこのわしを釣れると思うなよ!?」
彼が取り出したのは他でもない、ただの猫じゃらしだった。カリン塔へ向かう途中で採って来たのだという。
悟空にしてはやけに用意が良い。
「ふぅん…ほんとにいらねぇんか?楽しいだろー?ほーれほれっ!」
「ぎゃはははははっ!コラッ!止めんか!くすぐったいじゃろう!」
「ははっ!バッチリ楽しんでんじゃねぇか。カリン様も素直じゃねぇなー」
挑発するように、猫じゃらしでカリンの身体中をくすぐる悟空。
それに抵抗する為、両前足で掴もうとする仕草が、どこかじゃれているように見えて、やはり猫らしい。
その光景があまりにも可笑しかった為、悟空は腹を抱えて笑った。
「悟空、おまえ…仙人をからかうと痛い目に遭うぞ……」
そうは言うものの、猫じゃらしはキッチリ頂戴したカリンであった。
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