行動制限
ガーリックJr.は地獄に堕ち、再び地球に平和が訪れた。
あれから数日後の事ーー。
「バカ者!一体何をしておった!?あれ程見張っておくように命じておっただろう!」
あの世では、大変な事態になっていた。ある一件が原因で、閻魔大王の怒りの雷が落ちたのである。
周りに居る従者達は、巻き添えを食わないよう早々に避難し、物陰から様子をうかがっている。
まるで災害にでもあったかのように辺りがボロボロになり、建物の多くが欠損している。
一体何があったというのだろうか。
「も、申し訳ございません!」
すると、審判の間の隅っこで縮こまりながら頭を下げ続けている緑っぽい生き物が一人。
他でもない、地球の神である。
「リファは生きておる。生者にもしもの事があれば、只事では済まされんぞ!?分かっておるのか?」
彼らの会話からすると、未だ目を覚まさないリファの事だろう。
閻魔大王は、地球の神にリファの事を頼んでいたのにも拘らず、地球の神が彼女を下界へ行かせた挙句、ボロボロにさせてしまった事をかなり激怒しているらしい。
地球の神ともあろう者が、何故たった一人の少女を守る事も出来ないのだと、閻魔大王は地球の神の監視の甘さを指摘したのだった。
彼が叱責する内容は、もっともだった為、地球の神はただひたすらに謝る事しか出来ないでいた。
「…はあー…まったくどうしようもない奴じゃ。それで?どうなんだ、リファの容態は…まだ目を覚まさんのか?」
ーーバイィーーン!!
「ひゃいっ!!」
流石に怒り疲れたのか、閻魔大王はドカッと倒れ込むように椅子に座り、盛大な溜め息をついた。
彼のその行為により、周りの者が皆バウンドしたという事は言うまでもない。同じく、地球の神も平伏しながらバウンドしたようだ。
因みに、先ほどの情けない声は側で隠れている従者達のものである。
地球の神もうっかり声を出してしまいそうになったが、必死に我慢したという。
「あ、はい…リファは今はまだ神殿にて眠っておりますが……」
「…ほう、まさかこのまま一生眠り続けるなんて事はないだろうな?」
頬杖をつきながら、疑り深そうな目つきで地球の神の方を見下ろす。
「まさかっ!そのような事は……」
その鋭い視線にビクッと肩を揺らすも、慌てて顔を上げる地球の神。
だが、胸の内を最後まで明かす事ができなかった。
「…絶対にないと言い切れるか?」
「…………」
閻魔大王のあまりの顔の怖さに、地球の神は固まってしまい、そのまま地獄に落とされそうな気持ちに駆られたのである。
結局、リファが目覚めるまで大人しくしているよう、地球の神は行動範囲を天界のみに制限された。
そして、リファが目を覚まし次第、彼女と共に至急あの世へ来るよう命じたのであった。
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