短編集 その@
帰したくない (毛利元就)
変わった娘だ。

それが、率直な感想だった。

「……一体、どうやったら、迷子になるんだ(--;)」

ここは『安岐』。

この娘が云う『奥州』とは正反対にある国。

「ボク、帰る。奥州、どっち?」

「…………」

『人質』として、この娘を預かり、奥州の独眼竜を意のままに操ろうか。

余程、大事にしている娘のようだからな。

女の服装には、特徴があった。
薄い『蒼』を基調としたシンプルな柄が染め付けられ、襟足には、『伊達の家紋』が刺繍されていた。

『蒼』は、政宗の『色』。

『戦場の蒼き稲妻』

と、称されるぐらいなのだから。

「…どっち?ナリしゃん」

「………その、ナリしゃん、と云うのは、我の事か?」

冷たく響く声音。

ヒィイイイΣ(゜д゜;)

元就は、意に沿わない名前で呼ばれて、終始不機嫌極まりない。

「われ?われってなあに?」

きょとん、と、した表情で、元就を見つめる。

空気呼んでくれっ!!Σ(゜д゜;)

女に『空気を読め』と、云ってもムダである。

「――――…そうか。そなた、『独眼竜の猫』か!!」

独眼竜の側に、白き仔猫あり。
その仔猫は、竜の寵愛を受けており、手(チョッカイ)を出せば、竜の怒りを買う…。

「どくがんりゅうのねこ?」

きょとん、とした表情を見せる。

本人、自覚ナシ!!Σ(゜д゜;)

疲弊と脱力感が襲う。

「………今日はもう遅い。部屋を用意してやろう」

「「「「な…っ!!Σ( ̄◇ ̄;)」」」」

「みゅ?」

小首を傾げて、元就と、家臣達を見つめる。

「「「「「―――…!!」」」」」

かっ、可愛い………(*^^*)

帰したくない。

そんな感情に駆られた。






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あとがき

無事に帰れるのか、方向オンチの雪はf(^^;

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あきゅろす。
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