短編集 その@
重罪 (伊達政宗&前田慶次)
「Stop.ぐずるから、止めとけ」

「大丈夫だって」

雪は、政宗の背中にしがみついて眠っていた。

「…良いから、止めろ

雪は、一旦ぐずり出すと、なかなか止まらない。

火が付いた様に泣き出し、泣き止む事はない。

泣くだけ泣いて、疲れて眠る。

その事を知っている政宗は、慶次の提案に『待った』を掛けたのだった。

「…大丈夫だって(*^-')b」

慶次はそう云うと、政宗の膝の上で眠っている雪を、強引に引ったくり、政宗と同じように、雪を抱き抱えた。

「…ん…?」

雪の表情が険しくなる。

ふる、と、雪の瞼が押し上げられ、慶次を見つめる。

「起きたかい?(^^)」

「ふぇ…」

頷いたのか、と、思った瞬間、表情を歪ませ、

「ふぇええええ…うわあぁあああああんっ!!」

大粒の涙を溢して泣き出した。

「わわわっΣ(゜д゜;)」

「Oh my…(-_-;)」

政宗は静かに、額に手を置いた。

雪の泣き声が次第に大きくなる。

かなり、ヤバい状況である。

「うわぁあああああんっ!!まーしゃん、ないぃいい!!」

雪の泣き声を聞き付けた初音と和音が、バァン、と、障子を勢い良く開けた。

「「おひぃ様っ!!」」

「うわあぁああああんっ」

「お雪ぼうっ!!」

「雪ぼんっ!!」

「ひーちゃんっ!!」

続いて入って来るのは、小十郎と成実と鬼庭。

「梵っ!!」

「政宗様…

「若

ギロ、と、政宗を睨む3人に続き、初音と和音は、慶次の腕の中から雪を奪回する。

「だから云っただろ。雪は俺にしか懐いてねぇって」

その睨みをかわして、慶次を睨む。

「おひぃ様、さ、我等と寝ましょう」

「伊達と一緒にいるから、こう云う目に合うんですよ?」

「HA!!俺の所為だ、とでも云いてぇか?」

「「「「「その通り」」」」」

「うわぁあああああんっ」

5人に云われて、流石の政宗も、少々、凹む。

「まーしゃん、ないぃいい!!うわあぁあああああんっ!!」

「……もしかして(-_-;)」

初音は、ゆっくり、とした動作で、雪を政宗の腕の中に戻してみる。

「えっ、えっ…まーしゃん、まーしゃん。行く、めなにょ〜

ぎゅう、と、政宗の胸元を握り締めると、左胸に耳を当て、再び熟睡。

「泣き止んだ…

「やはり…。伊達殿の体温、心音、香…、この3つが揃ってこそ、眠りに落ちる、のでしょう」

「政宗様。暫くは、外出禁止ですので悪しからず」

「なっ!!」

「で――…何で、縛られてんの?」

成実と鬼庭の2人によって、後ろ手で縛られる慶次。

「風来坊。テメェは、今日1日、牢屋で過ごせ」

「雪ぼんを泣かした罪は、」

「重罪だ

「嘘だろ―――――!!!」

ズルズル、と引き摺られ、慶次は、牢獄へ、と、繋がれた。




奥州での重罪。

それは、雪を泣かす事。




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あとがき

長くなってしまって、申し訳ございません(゜゜;)\(--;){コラ!!

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あきゅろす。
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