短編集 その@
寝顔 (猿飛佐助&真田幸村)
お昼寝…、か。
すやすや、と、柱に凭れて眠っている少女。
少女は、こうやって、陽当たりの良い場所を見つけては、眠りに落ちている。
[この姿からは、あの"氷の殲滅姫"だなんて見えないんだけどな]
何時もは、『独眼竜』こと、伊達政宗の膝の上。
そこが、少女の『居場所』。
それなのに、今日は、柱に凭れて熟睡中。
暫く、観察中。
そ、と、少女の寝顔を間近に見たくなって、覆い被さる様に顔を寄せる。
「破廉恥であろぉおおおお…ふがっ!!」
「シーッ!!真田の旦那ッ!!声が大きい雪ちゃん、起きちゃうよ」
その言葉に、幸村は口をつぐんだ。
恐る恐る、雪を覗き込めば、何もなかったかの様に、すやすや、と、規律良い呼吸で眠りに落ちている。
それを見て、ほっ、と安堵の溜息を洩らした。
雪を泣かせば、政宗や小十郎だけでなく、信玄までもが怒るのだ。
「は〜…旦那。ダメだよ。大声出しちゃ」
「も、申し訳ない」
幸村は、眉を下げて、謝罪の言葉を述べた。
「すぅすぅ…」
「気持ち良く寝てるねぇ」
「…暑くないのだろうか」
こんな暑い日に、日差しの良い場所で寝ていては、病になってしまわないか、と、心配になってしまう。
そんな、心配もよそに、規律良い呼吸で眠っている。
「束の間の、平穏、だね。旦那」
「そうだな、佐助」
安らかに眠っている少女を見たのは、何日ぶりだろうか。
束の間の平穏。
この平穏が、ずっと、続けば良いのに。
そう、願わずには居られない2人であった。
------------------------------
あとがき
雪の着物は、政宗様のお下がりを雪用にリメイクした物です。
[*前へ][次へ#]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!