短編集 その@
ひなたぼっこ (石田銀)
「ぽかぽか陽気ですねぇ」
「そうやな…」

秋の連休。

奏荼は、とある寺を訪れていた。

「………」

「………」

秋の日差しを浴びて、縁側で茶を啜る。

のんびり、とした時間。

「静かですね」

「寺やさかいな」

「………」

「………」

さわさわ…、と、風が、彩りの葉を揺らす。

ゆらゆら、と、風に乗って揺れる、木の葉。

「奏荼はん、堪忍な…」

「はい?」

きょとん、と、した表情で、奏荼は銀を見つめた。

「ワシはこの通り、女性を喜ばす様な言葉は云われへん。堪忍やで」

「言葉が必要なのでしょうか?」

きょとん、と、した表情で、銀を見つめる。

「え?」

「ボクは、こうやって、静かで、のんびりと出来る時間、好きですよ。石田さんは、お嫌いですか?」

「いや…嫌いやない」

「なら、良いではありませんか。街の喧騒を忘れて、静かな時間を過ごすのも、良いではありませんか」

幸せそうに笑う奏荼を見て、銀は何も云わなかった。

ゴーン…ゴーン…。

遠くから鐘の音が聞こえる。

「…」

「…そろそろ、風が冷たくなって来たな…。中、入ろか?」

「…はい」

奏荼は、ゆっくり、と、立ち上がる。

さらり、と、髪が揺れる。
揺れる髪を押さえて、君が笑う。

その笑顔が眩しくて、目を細める。

その笑顔を見てたい。

秋の日差しを背中に受けて、柔らかく、笑う。
そんな奏荼はんを見ていたい、と、思う。





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あとがき

銀さんの大人びた空気が出てないよね…(ToT)
すいませんグダグダで。


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あきゅろす。
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