短編集 その@
剣の道 (真田弦一郎)

「そう云えば…真田さんって、剣道三段の腕前でいらっしゃると、お伺い致しましたが…」

話し掛けて来るのは、氷帝テニス部マネージャーの桜井奏荼。

「それがどうかしたのか?」

「もし、宜しければ、ご指導頂けませんか?」

突然的な申し出に、弦一郎は怪訝な表情を見せた。

「女とて、容赦はせんぞ」

「構いません」

「その心意気や良し。俺で良ければ、相手をしよう」

「ありがとうございます」

彼女はそう云うと、にこり、と、笑った。

「では、行くか」

「はい」

俺は彼女を伴って、体育館へと赴いた。



カンッ、カンカン、カンッ。


静まり返った体育館に、木刀がぶつかり合う音が響き合う。

「うむ、良い太刀筋だ」

「ありがとうございます」

「だが、踏み込みが少し甘い」

「はい」

どうやら、彼女はイギリスでも、剣道を経験していた様だ。

筋が良いな。

率直にそう思う。

「これぐらいにしておくか」

弦一郎の言葉に、奏荼は頷く。

「…すみません。休憩中だ、と云うのに」

「嫌、構わない。だが、剣道をしていたのか?」

「はい。まだまだ未熟ですが…」

「そうか」

「…あの!」

奏荼が、声を掛ける。

「何だ?」

「あの…もし、真田さんさえ良ければ…お時間がある時に、指導して頂けませんか?」

不安そうに見つめてくる。

「俺で良ければ構わん」

「ありがとうございます」

嬉しそうに笑う。




まさか、ここで気分転換が出来るとは思っても見なかった。

たまになら――――…、こう云うのも悪くはないな。



------------------------------
あとがき

真田ぁ〜…絡みムズッ。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!