Dragon Night
竜の護りしモノ G
そんなある日の夜。
「お兄さん、寄ってかない?良い娘が居るよ」
「ちょいと、そこのお兄さ〜ん寄ってっておくれよ」
様々な呼び込みの声が聞こえる。
ここは、遊郭。
男達が遊女を買い、一夜限りの"恋"を買う場所。
「はぁあ…」
そんな場所に不釣り合いな溜息を吐く人物が4人。
良直、孫兵衛、左馬助、文七郎の4人である。
「一体何処行ったんだよ〜」
「お雪ちゃんが、1人で何処かに行く筈ねぇし…」
「迷子、はないだろ?侍女が居たんだし…」
ブツブツ、と呟きながら歩く。
気晴らしに、と思い、やって来た遊郭。
しかし、なかなか、遊女を買う気にもなれやしない。
「誘拐、となると、下手人も命知らずな奴だぜ」
「どう云う意味だ?左馬助」
左馬助の言葉に、3人は振り返る。
「筆頭と片倉様の、お雪ちゃんに対する行動を考えれば判るって」
「う〜ん…」
3人は腕を組み、考える。
「要するに、下手人は、確実な自害方法を手に入れたって訳だろ?」
「「「「え?」」」」
突如現れた声に、4人は振り返る。
「よっ」
にぃ、と人懐っこい笑みを浮かべて見つめる青年。
「まっ」
「前田さんっ!!」
ぎょっ、とした眼差しを向ける良直と孫兵衛。
「でも、どう云う意味なんです?」
文七郎は、まだ、事情が飲み込めてはいないようだ。
「独眼竜が可愛がる娘を誘拐したんだろ?唯(タダ)で済む筈はない。下手人はその場で斬られる、だろ?」
まるで、問題を解けた子供の様に笑う。

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