番外編
夢を語る彼 2
「中学を卒業したら、プロの道に進むために、ドイツに行きます」
その言葉を言った時、泣きそうな表情をしていた。
心の何処かで、期待していたのかも知れない。
『ボクも一緒に行く』
『置いて行かないで』
そう言って欲しい、と。
けれど、お前は言わなかった。
今にも泣き出しそうな瞳で、笑いながら、
『行ってらっしゃい。キミなら叶えられるよ』
そう告げた。
忘れていた。
お前は、そう言う女だって事を。
何時でも、俺を優先させていた。
俺の夢である、"プロテニスプレイヤー"になる事を、自分の夢に置き換えて、ただひたすらに応援してくれていた。
そんなお前が、愛しくて、たまらなかった。
けれど、俺はお前ではなく、夢を選んだ。
プロになるまで、日本には戻らない。
そう告げたら、お前はどうするんだ?
俺と別れて、別の奴を好きになるのか?
それを思うと、胸が痛い。
離れたくない、けれど、夢は諦めきれない。
すまないーーーー……。
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