短編集 そのA
🌟 風邪 (白ひげ海賊団)
「ゲホッ、ゴホッ」
「こりゃ、風邪だな」
『ラーズ……』

咳き込むラーズの背中を優しく撫でながら、シャナメルは不安そうに、シュナイダーを見つめる。

「暫くは安静にしてろ。食後に飲む薬を処方してくる」
『さ、横になりなさい。風邪が治るまで、おかしゃんが側にいるからね』

ラーズをベッドに寝かせると、額に冷たいタオルを乗せる。

「メル」
『エースくん……』
「おどぢゃ……ゴホッゴホッ」
「喋るな。咳が酷くなるだろ。シュナイダーはなんて?」
『風邪だって……』
「そっか。大人しく寝てれば治るから、安心しろよ」

ぽむぽむ、と、布団を優しく叩くと、エースは、ニッ、と笑って部屋を出ていく。
どうやら、ラーズの心配をしているルースやアンジュ、ニューゲート達に報告しに行くのだろう。

「おがじゃ……」
『安心して寝なさい。寝るまでこうしてあげるから……』
「じゃ、寝ない……。寝るとおがじゃ、いなぐなる」

不安そうに見つめるラーズに、シャナメルはクスクス笑う。

「?」
『安心しなさい。ずっと側にいるから……ね?』

幾らしっかり者の長男と云えど、ラーズはまだまだ子供。
まだまだ、母親に甘えたいのだ。

「おがじゃ……」
『さ、寝ましょうね』

優しく髪を撫でると、ラーズはゆっくりと瞳を閉じた。




◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇




『………ゲホッゴホ』
「おかしゃー(;_;)」

ラーズの風邪が治った、と思いきや。
どうやら、シャナメルに伝染ったようだ。

『おかしゃんは大丈夫だから……ゴホッ。ほら、ちゃんと習い事にいってらっしゃい』
「おかしゃー(;_;)」
「ほら、おとしゃんが世話するから、お前らはマルコ達から教わって来い」
「「「ブー( ・ε・)」」」
「ブーじゃねェ。お前らに伝染ったら、おかしゃん悲しむぞ!!!」
「「「!Σ( ̄□ ̄;)」」」

エースの言葉に、子供達は飛び上がるように驚くと、慌てて食堂に向かった。

「おれが世話してやっからな(^-^)」
『そ……ゲホッ。それだけじゃ済まない気がする……ゲホッゴホッ』
「ーーーー……ンな事ァねェ」
『………(--;)』

シャナメルは、疑いの眼差しを向けるが、エースはどこ吹く風。

「汗をかきゃァ、早く治るぞ」
『ふぇ?』
「沢山、運動しような(*^^*)」
『エ?ちょっ……!』

ギシリ、とベッドが軋む。

「メルを独占して良いのはおれだけなんだぞ(# ̄З ̄)」
『自分の子供にヤキモチ妬いてどうするの!!(-""-;)』
「メルはおれのだ」
『エースくんのバカァアアアア!!!』

憐れ、シャナメル。
シャナメル禁断症状末期のエースに、美味しく頂かれてしまったのであった。

[にっ、2度と風邪なんか引くものかo(T□T)o]

エースに翻弄されながら、そう決意したのは云うまでもなかった。


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あとがき

どこまでも独占したいエース。

2017.03.16

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