昔話で行こう!!!
ご:漸く終わり?
森に近付いて行くにつれて、黒山の人だかり。

「?」

[確か、赤ずきんは、ばーさんに化けた狼に喰われて……、通り掛かった猟師に助けられる話の筈だが………???]

その黒山の人だかりを掻き分けて、進む事、数十分。
次第に、赤ずきんちゃんの怒りが頂点に達します。

「てめェら………」
「てめェら、向こうに行きやがれ!!!!!」

赤ずきんちゃんの声を掻き消す様に、エースの怒声が木霊する。
すると、黒山の人だかりは、蜘蛛の子を散らすかのように、退散。
シーン、と、静まり返った空間に、パタム、と、ドアが閉まる音だけが小さく響く。

[さっさと終わらせるよぃ]

赤ずきんちゃんは、小さく溜息を吐くと、ドアをコンコンコン、と、ノックします。
そして、がちゃり、と、ドアを開け、

「おばあさん。お母さんから頼まれた物を持って来たよ……い?」
「よぅ。マルコ。 じゃなかった。赤ずきんちゃん。遠い所悪かったな。それを置いて帰れ」
「………ばーさん役は、エースかよぃ。てか、狼はどうした?」
「寝てる」
「?」

泣き疲れたのか、と、思いきや。
ベッドの小さな膨らみ。
辺りに散らばる狼の衣装。
それに、微かに残るこの青臭い臭い。

「まさか………」
「狼メルなら、おれが喰った」

どっかり、と、椅子に腰を下ろすと、赤ずきんちゃんが持って来たデカい肉と、ワインを頬張るおばあさん。

「狼がばーさんを喰うンだよぃ。ばーさんが狼喰ってどうすんだよぃ」
「どっかの誰かさんが泣かすから、狼メルからメルコアラになったんだよ。それを慰めてたらさ、喰いたくなってよ。今しがたまでメルコアラを喰ってた。まだ物足ンねェから、これ食ったら、またメルコアラを喰う」
「…………猟師はどうすんだよぃ」
「大丈夫だ。猟師は撃退しておいたから」
「撃退………。デンジャラスなばーさんだ」

取り合えず、渡す物だけ渡して、赤ずきんちゃんは、疲れた身体を引きずりながら、家を後にする。
暫くすると、狼の悲鳴が聞こえた。
聞こえてない振りをして、すたすた、歩く赤ずきんちゃん。

「もぅ、やんねェよぃ」


率直な感想を述べた赤ずきんちゃんでした。


めでたしめでたし。




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あきゅろす。
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