朝の星空
トラファルガー・ローと云うオトコ
シャルロットが、ローに拾われてから数週間が経過した。
航海士の白熊、ベポが陸の空気が吸いたい、と、駄々を捏ね、やもなく何処かの島に上陸する事になった。

「変わったオトコ……」

この数週間、"トラファルガー・ローを観察"してみた。
自分の為だけに生きて、自分の為だけに死ね、と云っておきながら、怪我をすると怒る。
矛盾している。

「………で、此処は何処だ?」

近くの公園のベンチに腰を下ろし、シャルロットは溜息を吐いた。
そして、購入したアイスコーヒーをゴクリ、と飲む。
仄かな苦味と、ミルクの甘味が喉を潤す。

「まァ良いか………」
「良くねェだろーが」

背後から聞こえた声音に、ブッ、と、飲みかけていたコーヒーを吹き出す。

「居たのか、トラファルガー・ロー」
「……フラフラと俺の許可なく出歩くな」
「ボクはまだ、キミのモノになった覚えはないな。ついでに、オマケは要らない」
「…………オマケ?」

視線だけを向ければ、誰もいない。
だが、自分達に向ける殺気を感じる。

「気配が感じない遠い場所から見てるのさ。バカだね。"影に居たらダメ"なのに」
「ーーーー………面倒臭ェな」
「………」

不機嫌そうに呟かれる。

「殺してい?」
「好きにしろ」
「ーーーーー……闇の爪<シャドウ・ファング>」

殺気を放つ方に向け、手を翳す。
そして、ぎゅっ、と拳を握れば。

「ギャアッ」
「キゴワァ」

様々な悲鳴が聞こえる。
シャルロットは、クスクス笑う。

「カゲカゲの実、の能力か………?」
「知らないな。ただ、与えられた実を食べただけさ」
「………来い」

ローは、シャルロットの腕を捉える。

「嫌だね。ボクの事はボクが決める」
「判らねェ女だな。お前は俺のモノだ」

そう云った、と、思えば。
強引に上に引き上げられ、そのまま、引き摺られる様に歩く。
シャルロットは、ジタバタ、と、暴れてはみるものの、男の力に叶う筈もなく。
シャルロットは、諦めた様に暴れる事を止め、引き摺られるまま、歩き始めた。




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あきゅろす。
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