朝の星空
デアイ
バチィ、バチッ、と、機械が悲鳴を上げている。
その音が、遠く霞む。

「………」
「………」

ポタリ、ポタリ、と、白を基調にした床に、紅いシミが出来る。
ドォン、ドン、ドン、と、何かが爆発している。

「ここで、お前は死ぬのか?」
「……答える義理、ない」

すると、目の前の彼は、声高らかに笑う。
真っ直ぐに見つめてくるその意志の強さが、妙に惹かれる。
けれど、『実験体』のボクには、その"惹かれる"意味が判らない。

「お前の主人は逃げたぜ?」
「…………」

何時もの事だから平気だ。
見捨てられる事には慣れている。
実の親には棄てられて、育ての親には売り飛ばされて、何の為に生きているのかすら、判らないのだから。
こんな呪われた身体なんて、誰も必要とはしない。

「殺したいなら殺せ」
「俺に命令するな」
「…………」
「だが……」

彼は徐に近付くと、ぐいっ、と、顎を捕まれ、上を向けさせられる。
交差する強い眼差しが射抜く。

「気に入った」
「………は?」
「お前は俺のモノ。俺の為だけに生きて、俺を護る為に居て、俺の為だけに死ね」
「下らなーーーー……」

ドスッ、と、腹に拳がめり込む。
ずるずる、と、身体が沈む。
痛みで、意識が遠退く。
その中で聞いた言葉。





「お前に拒否権はねェよ。俺と出逢った瞬間から、お前は俺のモノ」





あァ。
ボクには、まだ、手を差し伸べてくれるヒト、居たんだなーーーーー………。





意識が完全にブラックアウトする。







[次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!