番外編
001
今日もモビーディック号は、賑やかだ。
戦いを挑んできた"命シラズ"な海賊団を潰し、追いかけてくる海軍を、ものの見事に追い払った。
「海軍め。一昨日来やがれってンだ!!」
「オイオイ。おめェは何もやってねェだろ。バーカ」
麦酒が注がれたジョッキを片手に、船員達は笑う。
その中でも、上機嫌に笑うのは、モビーディック号の船長"白髭"こと、エドワード・ニューゲートだ。
「グラララララ……おれの可愛い息子達は、自慢の息子達だ!!」
「親父さん。あんまり飲みすぎちゃダメよ?」
ナース達の苦言などなんのその。
盛大な笑い声に、息子達、と呼ばれた船員達は笑う。
「れ?メルは?」
きょろ、と、周囲を見回すのは、モビーディック号の二番隊隊長の、ポートガス・D・エース。
何時もなら、こう云う宴の時は、エースの横に座って、お茶を飲んでいるのだが、今回に限って姿が見えない。
「ナース達が拉致った」
「………何でおれに云わねェンだよ( ̄^ ̄)」
「ナース達はシャナを"妹"の様に可愛がってっからなァ。たまには、ナース達に貸してやんな」
「メルはおれンだ( ̄^ ̄)」
「はいはい(--;)」
グビッ、と、麦酒を呑みながら、エースは目の前に居た、サッチ・イゾウを睨む。
[[[[出たな。シャナメル禁断症状(--;)]]]]
エースは、シャナメルを何時でも独占したくて仕方がない。
側に居ないと、何時もシャナメルを探して、無理矢理に近いやり方で連れて来ては、自分の膝上に座らせるのだ。
それを嫌と云う程知っている彼等は、そんなエースの様子を"シャナメル禁断症状"と云う様になった。
「連れて来る」
「止めてやれよぃ。女達の話もあるんだろうよぃ」
「………むぅ(# ̄З ̄)」
プクッ、と、唇を尖らせて、拗ねるエースを見て、
「シャナメル禁断症状末期だな」
と、密かに囁き合う。
すると、
『………エーチュー!!』
「何だァ?」
突如聞こえた声に、振り返る。
すると、ケラケラ、と笑うシャナメルと、唖然とした表情をしているナース達が、視界を掠めた。
『エーチュ!!!』
「エーチュ?」
「おれか?」
舌足らずな声で、エースを呼ぶ。
「メルの奴、酔っぱらってンのか?」
やれやれ、と、云わんばかりに溜息を吐くと、シャナメルが騒ぐ、ナース達の席に向かう。
すると、そこには、タンクトップ姿のシャナメルが居た。
「メル!!服着ろ!!」
『あちゅいからやっ!!』
「風邪引くだろ!!」
『引いたら、エーチュにうちゅしゅ』
「………マジで酔っぱらってンのか(--;)」
シャナメルの様子を見れば、目はトロトロ、頬はほんのり桜色。
潤んだ眼差しで、『エーチュ、こっちで一緒いるお〜』と、自身の横の床を叩く。
「ほら、もう呑むな」
『…これにゃ、甘くておいち(*^^*)』
クピッ、と、グラスに入っていた酒を呑み干すと、へにゃり、と、笑う。
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