番外編
002
朝食時間が終わり、シャナメルは洗濯室にて、シーツなどの洗濯物を洗っていた。
その間もやはり、フルーツを口にしていた。

『美味し』
「そんなに食ってると太るぞ」

自身の洗濯物を持って来たのはイゾウ。

『この頃、良くお腹が空くの……。しかもね、食べたい物が限定されたり、夜中にもお腹が空いちゃって……』

自身の体調が判らない、と告げるシャナメルに、イゾウは心配そうに見つめる。

「診て貰ったのか?」
『まだ……』
「早く診て貰え」
『……うん…。これ干したらね』

パン、と、シーツを干しながら云うシャナメルに、イゾウは「やれやれ」と溜息を吐いた。




◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇



「シャナメル、待たせたな」
『ううん』
「………」

パラリ、と、シャナメルのカルテを視ながら、船医のシュナイダーは「生理はきたか?」と尋ねた。

『……遅れてる……と云うか、きてない』
「………」

思案の表情を浮かべて居たシュナイダーは、電伝虫をに向かって、

「親父、料理長。今すぐ診察室まで来てくれ」

と告げた。

『………ボク、病気なの?』
「病気じゃねェが、どうするかを話し合わねェとな」
『???』

シャナメルは、シュナイダーの言葉に小首を傾げた。
すると、コンコン、とノックする音が響く。

「シュナイダー」
「あァ、入ってくれ」

診察室には、ニューゲートと料理長。
そして、不安げに見つめるシャナメル。

「グラララララ……おれまで呼び出すたァ、何かあったのか?」
「料理長。シャナメルのシフトはどうなってる?」
「あァ、じゃがいもの皮むきに、魚を捌く」
「……重い物は持つのか?」
「そりゃあな」
「じゃあ、シャナメルをシフトから外せ」
「……は?」
「重たい物を持つのは厳禁なんだよ」

シュナイダーの言葉に、ニューゲートは盛大に笑う。

「グラララララ!!で、シュナイダー。どっちだ?」
「まだ判らねェ。詳しくは検査の結果次第だが、十中八九間違いねェ」
『…ボク………赤ちゃん…デキたの?』

シャナメルの言葉に、シュナイダーは頷いた。

「4ヶ月に入った所だろ。安定期に入るまでは、重たい物は持つな。走るな」
「シフトを考え直すか」

料理長はぶつぶつ云いながら、診察室を後にする。

「グラララララ!!めでてぇ!!今日は宴だ!!」
『ちょっと待って。でも確定してないんでしょ?』
「現に生理がきてない、悪阻(つわり)もある。ただの食い過ぎにしては、可笑しいんだよ」

その言葉に、シャナメルは黙り込んだ。
もしかして、と云う予感はあった。
けれど、まさか、とも思いたかった。

「エースにゃおれからーーー…」
『ううん。ボクから云う……から』
「シャナメル。エースと良く話し合え。親父、宴はそれからだ」
「おれとしては、産め、としか云えねェ」

ニューゲートはぽんぽん、とシャナメルの頭を撫でると、盛大な笑い声と共に、診察室を後にした。





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