番外編
001
今日も絶好の航海日和。
モビーディック号は、気分も高らかに、大波を掻き分けて突き進む。

『………』

シャナメルは一人、甲板に出ていた。
1週間ほど前から、調子が可笑しい。
やけに、エースが気になって仕方がない。
通常通りの膝上だっこで昼寝をしても、夜もその逞しい腕の中で寝ていても、溢れ出るのは"欲望"なのだ。

モット触レタイーーーー……。
身体ノ最奥デ、ソノ熱ヲ感ジタイ。
逞シイ腕ニ抱カレタイ。
淫ラニ乱レ、激シク求メテ欲シイ。
エースクンガ、欲シイーーーー……。

そんな淫らな欲望と、一人で戦っていた。
本音をエースにぶつければ、きっと、嫌、間違いなく、激しく、情熱的に抱いてくれるだろう。
けれど、その行為が一度だけで収まる筈はない。
今日も、膨れ上がる欲望と、理性が闘う長い1日が始まる。



◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇



「メルの様子がおかしいんだよなァ」

シャナメルの異変に、真っ先に気付いたのはエースである。
何時もなら膝上だっこで、昼寝をすると云うのに、この頃は『一人で寝る』と云い張り、近寄らせまいとする。
しかも、風呂も一緒なのに、ここの所は、簡単なシャワーで済ませている。

「シャナと喧嘩でもしたかよぃ?」
「してねェし、ちゅーもしてくれねェ」
「エースに厭きたか」
「!!(゜ロ゜ノ)ノ」

マルコとサッチの言葉に、エースは驚きを隠せない。
厭きたか、と云われ、過去を振り返る。
確かに、異常な程、構っていた為、厭きられても仕方ないだろう。
だがしかし、シャナメルが知っている男、と云えばエースだけなので、厭きる要素が「構いすぎている」だけでは、納得できない。

「おれは、もっとイチャつきてェし」
「あれだけ構っておいて、まだ、構い足りねェのかよぃ(--;)」
「うるせェよ」
「けど、様子がおかしいのは確かだぜ。メルちゃん、エースを熱っぽい視線で見てる割りには、エースに近付かねェしよ……。何らかの病気か?」
「病気なら、おれに云ってくるぞ?喉が痛いとか、腰が痛いとか……」
「だよなァ……」

大の男が3人固まって、話をしている。
それを遠くで眺めていたのは、船医、シュナイダーである。
診てやりたいのは山々だが、シャナメルは希少価値の高いセイレーン族の"純血種"なのだ。
セイレーン族のハーフなら、何度か診察をした事があるので、知識はある。
だが、セイレーン族の純血種は、全く初めてなのだ。

「彼奴に連絡するか………」

徐に電伝虫を取ると、何処かに連絡をし始めた。




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