番外編
006 マルコside
「今頃、エースの奴、シャナメルとイチャついてンだろうなァ」

グビッ、と、麦酒を煽りながら、イゾウが呟く。
その言葉に、「ちげェねェ」と、サッチが答える。
エースの、シャナメルに対しての"執着心"は、異常、と云えた。

「しっかしまァ、あれだけシャナメルに執着するなんて、思ってもみなかったぜ」
「仕方ねェだろぃ。シャナに一目惚れしちまって、昼夜を問わず、散々、口説いて口説いて、口説きまくったンだからな」

ククッ、と、笑い、麦酒を呑む。

「エースの実父を聞いても、"知らないし、興味ない"って言葉で終わっちまう」
「メルちゃんらしいっちゃあ、メルちゃんらしいな」
「"父親が誰であれ、エースくんはエースくんだし"って言葉で、エースの心を鷲掴み。そう云う女が欲しい」
「ちげェねェ」

ゲラゲラ、と笑いあうマルコ達。

「…………」

その中でも、イゾウだけは、黙ったまま、麦酒を呑んでいた。

「どうしたよぃ?」
「………まだ、何か隠してるような気がすんだよ」
「誰が?」
「シャナに決まってンだろ」
「………セイレーン族である以外にか?」
「あァ。おれの気の所為でなければ、な」
「気にしすぎだろ。シャナメルに関してとやかく云うと、エースが目くじら立てて、怒鳴るぞ」

常にシャナメルを独占しているエース。
シャナメルが他の男にちょっかいを出されただけでも、すっ飛んで行く。
その様を見ている隊長達は、そんなエースを"シャナメル禁断症状"と呼んでいた。

「何時か、シャナメルが懐妊したら、エースはどうすんだろうな」
「ガキとシャナメルの取り合いに、1000ベリー」
「云えてる。おーれも♪」
「おいおい(--;)」

エースとシャナメルの将来を賭事の対象にしているなんて、流石は海賊である。

「ンだよ!!皆取り合いに賭けンのかよ!!」
「賭けにならないね」
「当たり前だろ」

愉快に笑い合う面々に、ニューゲートは、愉快に笑う。

「あ〜……ヤり始めやがったな、あの二人」
「そうだな」

船内に続くドアには、黒山の人だかりに気が付いたのか、ハルタが呟く。
エースとシャナメルの情交を覗く、もしくは聴くべく、集まった面々。
だがしかし。

「テメェら、向こうに行きやがれ(-""-)!!!!」

エースの怒声に、ドタバタ、と、船内から逃げてくる船員達。
どうやら、シャナメルが聞かれているのに気付いたらしく、抵抗したようだ。

「シャナとしちゃあ、あられもねェ声や姿を見られるのに抵抗があるんだろうぜ」
「慣れるしかねェか」
「あァ」
「"セックス"に夢中にさせねェとな」
「終わった後だったら?」
「余韻に浸らせるか、もう一回ヤるしかねェだろ」
「いやいや。そこは、エースの腕の見せどころだろぃ」
「おいおい。相手は初心者だぜ」

等と、エースのテクニックに関して、好き放題。
シャナメルが聞いていたら、間違いなく卒倒する内容である。

「ま、シャナとエースに関しては、見守るしかねェな」
「そうだな」
「早く結婚しちまえば良いのに」
「メルちゃんがその気にならねェンだろ?」
「エースの口説き文句に問題があるんだろうぜ」
「ったく……」

あの二人にはヤキモキさせられる。
隊長達の沈黙が、その想いを物語っていた。




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あきゅろす。
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