まぼろばの蒼月
011 マルコside
「何時にも増して、激しいねぃ」

ズズッ、と、コーヒーを啜りながら、ぽつり、と、感想を洩らすのはマルコ。
シャナメルの喘ぎ声が、悲鳴に近付いているのに気が付いたのか、はぁ、と、重い溜息を吐いた。

「何分、エースは若ェからな」
「おれ達が枯れた、みたいな云い方だな、ラクヨウ」

苦笑いを浮かべながら、ドレッドヘアーが特徴の、ラクヨウを見る。
クツクツ、と、喉の奥で笑いながら、どっかり、と、ソファに腰を下ろす。

「言葉のアヤだよ。変な解釈すンじゃねェよ。マルコ」
「アレだけ激しいのはよ、シャナとエース、二人の身体の相性が良すぎるンだろうぜ?」
「そりゃ云えてら。そうでなかったら、エースがあんだけ求める筈ねェし」
「いやいや。シャナに横恋慕してる奴等に見せ付けてるだけだろうがよ」

などとまぁ、好き放題云っている、サッチ、ラクヨウ、イゾウ。
それを横目に、マルコは小さく溜息を吐いた。

[エースの、シャナに対する想いが、"異常"に感じるのは、気の所為か?
恋人であるシャナを"独占"、"束縛"したいのは判らなくはねェ。
だが、全てに関して、エースの行動は"異常"。
シャナが、メルメル印の洋菓子を売りに行くのにも、エースの許可。
誰かと出掛けるのにも、エースの許可。
シャナが船員……しかも、男女を問わず、話をしていても、必ず、と、云って良い程、エースが側に居る。
しかも、何処かしら、シャナに触れている。
それに関して、シャナが何も云わない、と、云うのも可笑しな話だ。
普通なら、そこまで束縛されて、嫌にならない訳ねェ。
それだけ、エースに惚れているのか、それとも、"弱味"を握られているのか。
だが、エースは、女の弱味を握って、思うがままにするような男じゃねェ。
なら、それだけエースに惚れてるのか?]

グルグル、と、考えが回る。

[セイレーン族は謎が多すぎるンだよい。少し、調べてみるか………]

マルコは、ガタリ、と、席を立つと、エースとシャナメルとの事で話に花を咲かせている、サッチ達を横目に、休憩室を後にした。



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