まぼろばの蒼月
005
しかし、エースの思い通りに動くなど、世の中そんなに甘くない。

「麦わら…?」
「んァ?」

呼ばれて振り返れば、赤い髪の少年と、フルフェイスの仮面を着けた青年が、ルフィを見ていた。

「……ユースタス・キッドか」
「ヘェ……、しかも、ポートガス・D・エースも居やがる」

鋭い目付きのキッドと睨み合うエースに、シャナメルはきょとん、とした表情で『エースくんは有名なんだね…』と、呟き、周囲を脱力させた。

「………天然か?」
「メルはそう云うのに興味ねェからな」
「………セイレーン族の女…しかも、純血種か」

ピクリ、とシャナメルが小さく反応をみせる。
その瞬間、エースがグイッ、と、シャナメルの腰を抱く。

「イイ女だろ?だがな、テメェらにゃあ、絶対にやらねェ」
「ほぅ…。そう云われて、スゴスゴ引き下がるとでも思ってンのか?」
「ククク……、さぁな」

バチィ、と、火花が飛び交う。
エースは、シャナメルを背後に隠し、キッドを睨む。
二人は、お互いの間合いを詰める様に、探り合う。
お互いの殺気が膨れ上がる。
しかし、騒ぎはそれだけに止まらず。

「毛皮にしてやるーーー!!!」
「ギャーッ!!」

ドドドドド………。
何かが、エース達の修羅場に向かって走りこんで来る。

「何だ?!!」

気が付いた時には遅かった。
エース達は、その騒ぎに巻き込まれてしまった。

『きゃああああ!!!エースくーーーんッ!!!』
「メル!!!!」

シャナメルが、騒ぎの元に連れ去られてしまったのである。
そして、それを追いかけるように走り去るエース。
その様を呆気に見送る三人。

「あの熊、トラファルガーの所の熊じゃねェか?」
「……その様だ」
「面白ェ……。麦わら、勝負しようぜ?」
「勝負???」

キッドは、ニヤリ、と口の端を上げながら、

「あの女を捕まえた方が、ポートガス・D・エースと勝負出来る」

と、ルフィに告げた。

「キッド!!」
「良いじゃねェか。キラー」
「面白ェ。受けて立つ」
「上等だ」

そう云って二人は、走り出す。
キラーは「やれやれ」と溜息を吐きながら、二人を追いかけた。




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