まぼろばの蒼月
004
「テメェら、おれのメルに何してやがンだ!!!」
『エースくんッ!!』
「あれは……!!」
「ゲッ!!火拳のエースッ!!」

エースの怒声に、シャナメルと海賊達が振り返る。
シャナメルを取り囲む様にいた海賊達は、蜘蛛の子を散らす様に、慌てて立ち去る。
残されたのは、それを茫然と見送るシャナメルと、怒りの四つ角を増殖させたエース。

「エース、すっげェ」

関心したように云いながら、二人に近付く。

「メル、何処もケガしてないか?」
『うん。大丈夫』
「おれに黙って出てったろ」
『……邪魔しちゃ悪い、と思って……。ごめんなさい』

しゅん、とした表情で、エースを見つめる。

[………すっげェ、かわいい……ッ!!]

口元に手をあて、抱き付きたいのを耐える。
もし、ここにルフィが居なければ、シャナメルを抱き寄せて、キスしていただろう。
だが、それだけじゃ収まらない。
何処かに連れ込んで、シャナメルを抱いただろう。

[さっさとルフィに紹介して、部屋に戻ったら、メルとヤる]

先程、収めた筈の欲望が燻る。
黙って出ていったシャナメルには、"お仕置き"をしないといけない。
その前に、さっさと用件を終わらせて、シャナメルと二人きりにならないといけない。

「ルフィ」
「なんだ?」
「こいつがおれの嫁のメル」
『ちょっ…!!』

シャナメルを抱き寄せて云うエースに、驚いた眼差しをみせるシャナメルと、「エースが云う通りちっちゃいなァ」と、シャナメルをジロジロ見つめるルフィ。

『まっ…まだエースくんのお嫁さんじゃないよッ』
「何でだよ!!メルはおれの嫁だろ!!ヤる事はヤってるし」
『そーゆー事は云わなくて良いのッ!!』

顔を真っ赤に染めるシャナメルに対し「照れなくても良いだろ」と、 云いながら拗ねた態度をとるエース。

「ヤる事はヤってるって……何を?」

きょとん、とした表情で二人を見るルフィに、 シャナメルは何も云えない。
顔をより一層真っ赤に染め上げ、俯くしか出来ない。

「そりゃあ、メルを抱く……云わば、セック……フガッ!!」
『云わなくて良いからッ!!それにそーゆー事は聞かなくて良いからッ!!』

シャナメルは飛び上がる様に驚くと、慌ててエースの口を掌で抑え、ルフィに向かって叫んだ。

「フガッ、フガフガ!!(メル、何すンだよ!!)」
「まっいっか。ゾロとかサンジに聞けば……」
『聞かなくて良いのーーーーッ!!』

シャナメルの悲痛な叫びが静かな空間に響いて、消えた。







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あきゅろす。
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