まぼろばの蒼月
007
ゴウゴウ、と燃えしきる家の中。
シャナメルは、黙ったまま、鎮座していた。

『これで良い』

ふぅ、と小さく溜息を吐いた。

「何が良いんだよ」
『………!!!』

シャナメルは、後ろを振り返る。

『どうして……戻って来たの?』
「………」
『今ならまだ間に合う。出て行って』
「海賊は欲しい物は奪う。おれはお前が欲しい。だから奪いに来た」
『何をバカげた事を。さっさと出て行って』

シャナメルは、エースを睨む。
エースは黙ったまま、シャナメルを見つめていた。

「力付くでも連れて行く。云っただろ?おれは海賊だって」
『何を………ッ!!』

トン、とシャナメルの首筋に手刀を当てる。
暗くなる意識。
その中で聞いた言葉ーーーー…。





「お前はおれが守ってやるよ」







優しい声音で、囁かれた。
それが、最初の出逢い。












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あきゅろす。
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