まぼろばの蒼月
001
「…………」
『温泉???』
「まぁた、親父の気紛れかよぃ」

緊急招集と云われた、エース達、白髭海賊団、16人の隊長達。
何事か、と思えば、なんて事はない。
ニューゲートの「温泉に行くから、航路変更したぞ、グラララララ……」であった。
クイクイ、と、エースのベルト付近を引っ張る。

「……ン?メル、どうした?」
『エースくん、エースくん。温泉って何???』
「あ〜……温泉って云うのはな、デカイ風呂」

エースの簡単すぎる説明に、シャナメルの瞳は、キラキラ、と輝く。

『大きいお風呂………』
「行ってみてェのか?」
『うん。行きたい。エースくん、一緒に行こ?』

ニコニコ、と嬉しそうに笑うシャナメルに、行きたくないとは云えず、「判った」と答えてしまう自分が、情けない。
悪魔の実の呪いによって、身体の半分以上が水に浸かると、力が半減される。
もし、襲撃でもされたら、シャナメルを守る事すら難しい。

「あァ、行き先は、温泉の島だからな。トラブルは絶対に起こすな、との命令だ」
「なら、大丈夫か」

温泉の島は、海賊・海軍の両方が訪れる島でもあり、一般人も訪れるリゾート地。
一般人を巻き込まない為に、設けられた法律で、1度でも騒ぎを起こし、一般人を巻き込んだ争いに発展させた者は、海軍の上位クラスの人間だろうと、海賊の四皇だろうと、王下七武会だろうと、関係なく立入禁止を命ぜられ、2度とこの島には足を踏み入れる事は出来ない。
そんな法律が設けられた。

「シャナ、楽しみかよぃ」
『うん。初めて行くんだ〜』

嬉しそうに笑うシャナメルに、他の隊長達も嫌だ、なんて云えず。
「良かったな」と、云う事しか云えなかった。

[云える筈ねェよな]
[あァ]
[おれたちは行かねェなんてよぃ]
[エースは間違いなく行くだろ。何せ、シャナが行くんだし]
[そうなりゃ、誰かがあいつらと一緒に行かねェとなァ]

エースを除く隊長達は、誰が一緒に行くのか、小声で話し合っていた。




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あきゅろす。
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