まぼろばの蒼月
007
シュエルに一目惚れされたシャナメルは、1人で外に出るのを禁じられてしまった。
理由は、誘拐防止、である。
それもその筈。
シュエルはシャナメルに好意を寄せている為である。
シャナメルはそれに関しては同意した。
それは、意味無く抱き締められるのが嫌、と云う理由が大半だが、その他にも理由があった。
それは云わずも知れた事、エースとのセックスである。
シャナメルの男性経験と云えば、エース1人だけ。
それに引き替え、エースは女性経験は豊富なだけあって、テクニックは一流、と云っても過言ではない。
そんなエースに翻弄されて、身動きが取れなくなってしまうのだ。
暫くの間は、エースとのセックスは避けよう、と決意するものの、快楽に従順な身体は、キス1つに陥落してしまうのが現実。
エースの手管によって、躾けられて行く自身が怖くて仕方がなかった。
何時かはエースと"別れる"時が来る。
そうなったら、1人で生きていけるのだろうか。
不意に過った不安。
エースに云えば、

「おれがどれだけメルを愛してっか、身体に教えてやるよ」

と云って、否応無く抱かれるのは明白。
エースに抱かれるのは嫌ではないが、初心者なシャナメルには、エースのテクニックはキツい。

『どれもこれもアイツが悪いッ』

パリッ、と、シャナメルの身体を稲妻が走る。
大体、"マイハニー"ってどう云う意味なのだろうか。
名前も知らない相手に、いきなりそう云う事を云われて"嬉しい"と想う女性はいない。
ドン引きされるのがオチだ。

『外に出たいッ』
「ダメよぅ。隊長達は今、会議中」
『う〜…』
「仕方ないでしょ。厄介な相手に好かれちゃったんだから」
『……殺しちゃおうかな………』
「「「えっ!!!!」」」

シャナメルが呟いた物騒な言葉に、その場に居たナース達は驚きの声を上げ、船員達は凍り付いた。



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あきゅろす。
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