まぼろばの蒼月
004 (Rー18)
手を引かれながら、エースの部屋にやって来たシャナメルは、エースの腕の中で安心したかのような表情を浮かべていた。

「浮気って云ってたけど、浮気じゃねェぞ、それ」
『ナースさん達が云ったんだよ。エースくん以外の人と引っ付いたりしたら、浮気だって。ボクの事キライになるって』

どうやらシャナメルに、余計な入れ知恵をしたようだ。
恋愛経験が無いシャナメルは、ナース達の助言が正しい物だ、と思い込んでいるフシがある。

「キライにゃならねェけどよ……」
『…ホント?居なくなったりしない?』

しがみついてるのは、居なくなって欲しくないから。
甘えた態度をとるのは、キライになって欲しくないから。
そんなシャナメルがかわいい。

「良いか?メル。おれに黙って行くから、怖い想いをするんだぜ?」
『……ごめんなさい……』
「これからは、行きてェトコあったら、おれに云う事」
『…うん』

スリッ…と胸元に摺り寄る姿はまるで猫のよう。
エースは、シャナメルには悪いが、内心、シュエルに感謝していた。
こんな態度を取るシャナメルは、滅多にお目にかかれない。

「あ」
『…エースくん?』
「おれとお揃いが欲しいンだろ?」

エースは、何かを思い出したかのように、クローゼットを開けて、ごそごそ、と、何かを探している。
探す事、数分。

「あったあった」
『…………きゃっ』

ぼふっ、とシャナメルの頭に何かが被せられる。

『帽子?』
「あァ。気に入って2つ買ったのは良いけどよ、1つサイズ間違えたんだよ」

照れ臭そうに笑うエースに、シャナメルは嬉しそうに笑う。

「これでお揃い」
『……嬉しい』
「そっか」

ニシシ、と笑うエースに、シャナメルは帽子を抱き締める。

「メル」
『何……んッ』

不意に舞い降りた唇に、シャナメルは目を閉じる。
パサッ、と帽子が落ちると同時に、エースの首元に腕を回す。

「…んん」
『…はぁ…んッ』

何度も離れては重なる唇。
微かな隙間を見つけたのか、するり、と舌が進入を始める。
縦横無尽に舌が動き回り、シャナメルの口内を犯す。

「んッ……んん」
『んぅ…は…ァ…んくッ』

ぐちゅ…くちっ……。

卑猥な水音が、シャナメルの鼓膜を襲う。
腰に添えられた腕が、いつの間にか胸まで移動していて。
服の上から、揉み解される。

『…んんッ!!』

抗議の声を上げようとしても、口内を我が物顔で動き、絡まる舌が邪魔をする。

『ふぁ…あっんぅ』

服の上からじゃ飽き足らず、Tシャツの裾より進入を始めた掌が、シャナメルの乳房に辿り着き、直に触れる。

『あっ、んく……』

キスの隙間から漏れる声音。
甘い声音に気を良くしたエースは、シャナメルの身体を優しくベッドに横たえる。

「は……」
『んァ…はぁ……んく、あぅ』

長い長いキスに終わりを告げ、エースは性欲に満ちた眼差しで、シャナメルを見下ろす。

「そいつの感触、拭ってやるからな」
『…ん……ッ』

シャナメルのTシャツを脱がすと、露になった胸元に、顔を寄せた。




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