まぼろばの蒼月
004
シャナメルが鑑賞用として【蒼のカナリア】と云う名で売られる事が無くなり、【戦闘奴隷】として、貴族達の慰み物となって、はや、5年の月日が経過していった。
その間、アスカ、ミクとの出逢いが有り、成長を止める呪いを受けた。
"成長しない娘"として、貴族達はシャナメルに冷たい視線を送り続ける。
そして、貴族達の間で流行っている戦闘賭博。
それに、【戦闘奴隷】として、シャナメルは駆り出されていた。
賭博に破産し、泣き叫ぶ貴族も居れば、喜びに浸る貴族。
シャナメルは、そんな血生臭い日々を過ごしていた。

「そこだ!!」
「小娘に負けるな!!!」

スタジアムにヤジが飛び交う。
シャナメルは、自分よりも遥かに大きいおおさそりを相手に戦っていた。
ほんの少しでもかすれば、毒が回り、死に至る。
その様を見たい貴族達。
彼等は日々の平和に、精神が壊れていたのかも知れなかった。
すると、突如、スタジアムの明かりが消える。

「何事だ!!」
「きゃぁああっ!!」
「うわあぁああっ!!」

急に明かりが消えて、スタジアムはパニックに陥った。
おおさそりが逃げ出して、殺されるかも知れない。
それが尚更、パニックを引き起こす。
スタジアムは騒然となっていた。

『………!!』

不意に背中に感じる気配。
振り返るのが数秒遅かった。
トン、と首筋に痛みが走る。

「高額に買い取ってくれる所を用意したんだよ。【蒼のカナリア】」

薄れ行く意識で聞こえた声に、シャナメルは何も云い返せなかった。
誰でも良かった。
この狂った日々から解放してくれるなら………。




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あきゅろす。
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