まぼろばの蒼月
008
「………」
『……えと…あの……』

どう云えば良いんだろう。
もっと一緒に居たい、なんてワガママ、云える筈なんてない。
そんな折、ナースが云った言葉が、脳裏を過った。

"素直にならないとね"

海賊稼業は明日をも知れぬ定め。
何時どうなるか、なんて誰にも判らない。

『……ボク……まだ……その……、一緒に居たい』

かぁあっ、と、下を向き、頬を真っ赤に染めて呟く。
その言葉に、エースも頬を赤く染める。

「そっか…」
『……うん………。でも、エースくんが嫌ならーーー…』
「嫌じゃねェ!!嫌じゃねェから」

エースの返答に、ほっ、と息を吐く。

[期待…しても良いのか?]

シャナメルの態度の異変。
普段ならこんな態度なんて取らない。
『戻る』と云われるのではないか、と、内心ハラハラしていた。
けれど、"一緒に居たい"と云ってくれた。
夢なのか、と一瞬思ったが、微かな肩の痛みが現実である事を訴える。

「はい、お待ちどう」

テーブルの上にところ狭しと並べられた料理。
芳しい匂いが辺りに漂う。

『いただきます』
「………」
『ん?何?』
「嫌、何でも」

エースはシャナメルから視線を外し、料理にむしゃぶりついた。



[*前へ][次へ#]
[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!