まぼろばの蒼月
004
何だかんだで、騒がしかった朝が過ぎ、お昼頃。
シャナメルは甲板に出て、溜まりに溜まった洗濯物を干していた。

『ん〜、良い天気』

今日は朝から太陽が顔を覗かしている。
この間から降り続いた雨が嘘の様だ。

『洗濯日和だね〜』

パンッ、と、シーツのシワを伸ばして、次から次へと干して行く。
パタパタ、と、白いシーツが風に靡く。

『ん?!!』

ちょこん、と、洗濯かごに留まった鳥。
ツンツン、と、洗った洗濯物を嘴で啄いている。

『ダメだよ、いたずらしち…あーー!!』

バサバサバサ、と、何かを加えて翔んで行く。

『コラッ!!返しなさいッ』

ぴょんっ、と鳥に向かってジャンプしても、ヒラリ、とシャナメルの手をかわす。

『うー。コラァッ!!ボクの……返しなさいッ』

ぴょんっ、ぴょんっ。

幾ら跳んでも、鳥には届かない。

「なーにやってんだよぃ」
『う〜、ボクの……』
「メルちゃん、鳥に向かって跳んでも届かねェぞ」
「かわいいねェ。鳥に向かって飛ぶ、なんて」

その場に現れたのは、マルコにサッチ、そして、イゾウ。
雨が降り続いた所為で身体が鈍っているから、手合わせでも、と思い、外に出て来たようだ。

『ボクの…盗られた』
「何をだよぃ」
『………………つ』
「え?何だ」
『………ボクのぱんつ!!』

しゅん、としているシャナメルに、マルコ達は固まった。

「ぱんつ……って、あのぱんつ?」
「それ以外………」

ドキューン、と発射音が聞こえる。
すると、下着泥棒の鳥から、ひらひらひら、と、何かが落ちてくる。

「ほら」
『イゾウさんッ、ありがとー』

イゾウから盗まれたぱんつを受け取ると、シャナメルは船内へと戻っていった。

「イゾウ………」
「シャナには下着は室内に干すように云わねェとな」
「おれも飛び道具覚えよっかね〜」

等と感想を述べていた。



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