まぼろばの蒼月
007
「詳しくは何とも云えねェが……。アトラティカとセイレーン族。関わりがある事は確かだ」
「……兎に角、メルが目覚めるのを待つしかねェか」

エースが漏らした言葉に一同、沈黙。
ここで幾ら、疑問を投げ掛けても答えられる人間はいないのは確かだ。

「他に、気付いた事ねェかよぃ。エース」
「へ?」
「へ?じゃねェよぃ。シャナに一番近いのはお前だい(--;)」
「ーーーーーー……それぐれェなモンだ。メルは自分の事は話したがらねェ」

大半の事は知ってます、なんて云える筈もなく。
シャナメルに関して、他の人間と共有したくない。
自分だけの"女"なんだから、自分だけが知っておけば良い。
奇妙な独占欲がひょっこり、顔を覗かせた。

「……シャナを調理師見習いから、異動させるか」
「……は?」

マルコの言葉に、エースはきょとん、とした眼差しを向けた。

「シャナの能力が判った今、一人にする訳にゃいかねェだろぃ」
「大抵、お前(エース)と一緒にいるが、いない時や単独行動も有る。万が一買い出し先で連れ去られてもみろ」
「………」

シャナメルを守る為には、避けて通れない道、である。

「メルは、おれの補佐で良いだろ」
「お前の補佐は副隊長がいるだろ。親父の付き添いでも良いが?」
「嫌だ。メルはおれの嫁だぞ。嫁を側において何が悪い」
「禁断症状かよ!!」
「エース。お前の補佐と云ってもよォ、戦闘員としてシャナメルを出す気か(--;)」
「ンな訳ねェだろ。危険な目に合わす必要ねェし。書類を纏めたり、戦いに出なくてもやる事はあるぞ(*^^*)」
「……複雑そうに笑うシャナメルが安易に想像できるぜ」
「おれもだよい(--;)」

エースを除く隊長達は、はぁ、と小さく溜息を吐いた。


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