まぼろばの蒼月
005 ダリアside
エースが緊急招集で会議室に向かった後、ダリアは、眠り続けるシャナメルの頬を撫でた。

「メルちゃん……。早く起きなさい」

すぅすぅ、と、規律良い寝息だけが静かな部屋に溶ける。

「ーーーー……早く起きないと、エース隊長、私が貰うわよ?」

エースがこの白髭海賊団に来た当時から、抱いていた"想い"を。
ずっと、想い続けた相手。
もし、エースを奪うなら、今が絶好のチャンスだ。
けれど、エースが想っている相手は、自分ではない。
心の隙をついて手に入れても、奪われる恐怖に、怯えなくてはならない。
それに、エースはそう簡単に想いを断ち切れる程、器用な男ではない事を知っていた。

それなら、見守れ。

ニューゲートの言葉に、ダリアは頷いた。
エースも好きだが、シャナメルも妹みたいで好きなのだ。
シャナメルの哀しみに濡れた顔を見たくない。
だからこそ、見守れ、と云われた時、素直に受け入れる事が出来たのだ。

「……メルちゃん。早く起きて」

ダリアの呟きは、静かに溶けて、消えた。




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あきゅろす。
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