まぼろばの蒼月
002
「だが、俺はまだシャナメルに逢った事はねェ。船に乗せるかどうかは、その時に決める。そいつの意識が回復したら連れてーーーー…」
ニューゲートの言葉を遮る様に、ドアがノックされる。
「エース隊長。シャナメルちゃん、目醒めましたよ」
「判った。今行く」
エースは、呼びに来たナースと一緒に、医務室に向かった。
「エースに"春が来た"か」
「………親父、シャナメルに逢っても驚くなよぃ」
「………何でェ。マルコ。その意味深な言葉はよ。エースが惚れた相手だろうが」
「………」
「まさか……野郎とか云わねェだろうな」
「違ェよぃ!!!」
マルコの突っ込みに「グララララララ…」と、盛大な笑い声が響いた。
◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇◆◆◇◇
「メル、目ェ醒めたか?」
『………』
ベッドの近くの椅子に腰を下ろし、シャナメルを見つめる。
「怪我はしてねェと思うけどよ、痛てェトコねェか?首筋とか痛くねェか?」
『………うん……へーき』
「そっか。良かったァ」
にかっ、と笑うエースに、シャナメルは戸惑いを隠せない。
どうして、助けたりするんだろう。
自分を助けても何にもならない。
海賊が欲しいだろう"金目の物"なんて、持ち合わせてはいないのに。
「……目醒めて直ぐで悪リィんだけど、親父に逢って欲しいんだ」
『親父………???』
きょとんとした表情で小首を傾げているシャナメルを見て、一同、
[これは反則だろ!!]
[イヤーン、可愛いッ]
[ココの男どもの毒牙にかからないようにしないと………]
なんて思われているなど、当のシャナメルは知る由もなく。
「エース隊長、シャナメルちゃんのカルテ作るから、シャナメルちゃんの云った言葉を教えて?」
「何で?聞こえるだろ」
「あたし達には聞こえないのよ」
「………良いけど」
『………』
それから、と云う物、エースを通してのカルテ作りが始まった。
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