あねとおとうとの差
ガラッ
「…あ、ねえさん」
「精市、もう出たの?」
「うん。……掃除機なんか持ってどうしたんだい?」
「ああ、お皿割っちゃって…」
「ええ!?怪我、しなかった?」
「うん、だいじょーぶ!」
心配してくれる精市に「ありがとう」の一言を送って止めていた足を動かした。
倉庫にしまって、ぱたん、閉じると再びキッチンに戻る。
スリッパの音が耳に届き、なんだか寂しさが込み上げた。
その中、キッチンから聞こえてくる2人の話し声。
精市はお母さんに聞こうとしてる、まさにその瞬間で…。
「――…でも、かあさん。俺も手伝うよ?」
「ふふふ、いいのよ?休んでて」
なんか、嫌な予感がした。
ああ、聞きたくないな…
「…ねえさん、2年前くらいからお手伝い始めてたのに…俺はしなくていいの?」
「精市は優しい子ね。」
ふふ、と笑って、お母さんが精市の頭を撫でた。
「精市はまだ小さいんだもの。」
ドクン...
「それに、テニスで疲れているでしょう?」
わたし、だって…精市と同じようにテニスしてるよ?
「それに、
精市は男の子だから」
だから、やらなくていいの。
NEXT...
090908
←前の話次の話→
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!