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Short Story
【Bold Plan/完結編】ペルソナ4アンソロ(主人公×直斗)
なぜ?僕は彼を好きになったのだろう…。

なぜ?彼は僕を好きになったのだろう…。

……なぜ?僕だったのか?

……なぜ?彼だったのか?

解らない…考えれば考える程、解らなくなってくる…………。

……………………………なぜ?


【バレンタイン当日】
朝日が窓から差し込み、寒さで目を覚ます。結局、いくら考えても答えは出なかった。
直接本人に聞けば早いのだろうが今の直斗にはその勇気も無かった。
学校に行く準備を終え、昨日なんとか作ったバレンタインチョコを鞄に入れて家を出た。
(……いつ渡そう)
全くその事を考えていなかったので、今度はその事だけで頭がいっぱいになってしまった。

学校の校門前に人だかりが出来ていた。後ろの方から様子を伺うと中心には月森先輩が女子生徒に囲まれてチョコを渡されていた。
「月森先輩、好きです」
と告白されては次の子という感じに繰り返しチョコを渡していて、月森先輩は戸惑っている感じだった。
外野を見ると男子は当然面白くない感じで愚痴をこぼしては、さっさと通り過ぎ、女子はこの光景が当然の様に見ていた。
さすがに直斗も、この光景には驚いた。
「おはよう!直斗」
後ろを振り向くと久慈川さんがいた。
「おはようございます」
久慈川さんもこの光景には驚いた様で目を点にさせていた。
「月森先輩はモテるね!彼女になる予定の私としては鼻が高いけど、ちょっと複雑」
(やっぱり告白するつもりだ)
直斗にとっては前に居る女子よりも横に居る久慈川さんの方が強敵に思えた。今日はやはり月森先輩の気持ちをもう一度確かめる良い機会だし自分の気持ちに整理をつけるにも良い日だと思えた。

【放課後】
何度か渡す機会を陰から伺っていたが休み時間の間、女の子達が引っ切り無しに来ていたため渡すタイミングが無かった。
今度こそ、久慈川さん達より早く渡す為に教室に向かう途中、階段の所で月森先輩の姿が見えた。その前には里中先輩と天城先輩の姿も見えた。
どうやら屋上に向かう様だ。
急いで追い掛けようとしたが…急に足が止まってしまった。
(もし、女の子らしくも無い自分より、女の子らしい先輩達を受け入れたらどうしようかと)
その場面を見るだけでも今の直斗にはキツかった。月森先輩が自分以外の物になるのも考えてたくは無かった。すると自然と足も遠退いていき気付けば逃げ出していた。

気付くと鮎川土手まで来ていた。ここは月森先輩と一緒に推理をした場所だった。
ほんの二ヶ月前の事だというのに随分と昔の様に思えた…。
(あの時は本当に楽しかったな)
と思いながら見ていると後から女の子達の話声が聞こえてきた。
「今日、彼氏にチョコやろうと会いに行ったら、アイツ別に女作ってて私に別れてくれって!信じられない!!」
「酷いね〜それ!」
「しかも理由を聞いたら「もっと女の子らしい子が好きなんだ」って「いつもジーンズばかり履いてないでスカートも履いて欲しい」って変態か!」
「…………………。」
隣の女の子も呆れて言葉を失ってしまった。
「!」
直斗はひらめいた。普段スカートなんて履いてないけど履いたら月森先輩は喜んでくれるのではないかと!!少しでも女の子らしい所を見せれば振り向いてくれるのではないかと!そう思えば一目散にジュネスに走り出した。【ジュネス・フードコート】
「しかし、今日は朝から凄かったな!お前がこんなにモテるとは思わなかったぜ」
陽介が横に置いてある大量のチョコを見て羨ましそうに言った。
「さすが先輩ッスね」
完二は尊敬の眼差しで見ていた。
「全部で、どのくらいあるんだよ?」
「さぁ?数えてないから分からない」
陽介が袋の中を漁り数え始めた
「ざっと数えても100個近くあるんじゃねぇか」
羨ましさを越え嫉妬に近いオーラを出していた。逆に
「お前は何個貰ったんだ」
と聞けば殺されそうである。
「しかし天城先輩達は向こうの席で暗く沈んでいるんですかね」
完二が不思議そうに聞いてきた。陽介も雪子達と俺の顔を見て何かに感づいたらしくニヤニヤ笑っていた。
「完二、3人はほっとけ!罪作りな男が悪いんだからな」
「はぁ?」
納得してないような首を傾げていた。突然、大きな声で
「月森先ぱ−−−−−−−い」
と直斗が叫びながら走ってきた。それだけでも驚くべき事なのに、なんと服装は男子の制服ではなく青と白を基調としたワンピースを着て髪にはウイッグを付け長い髪になっていた。
「!!」
全員が、その姿に驚き放心状態になっていた。直斗は自分の目の前まで駆け寄ると息を整え。
「先輩!あの…どうしても確認したい事があって…先輩は女の子らしくもない僕を好きだと言ってくれて…でもモテる先輩を見てると…いつ他の女の子に取られるか不安で仕方がないんです」
直斗は決意したように顔を上げ
「私は先輩が大好きです!先輩の気持ちをもう一度聞かせて下さい!!」
「………………。」
全員が呆気に取られ、思考が回転するまで数秒かかった!どうやら直斗は興奮のあまり周りが見えていない感じだった
「ちょっと直斗!いきなり何、言ってんのよ」
りせは信じられない!という感じで直斗を睨んでいた。雪子と千枝も直斗を睨んでいる。
完二に至っては全身を白くし廃人状態である。
このまま気持ちを言っても多分修羅場になると思い直斗をその場から連れ出した。
その時、りせ達の罵声が飛び、陽介が止めに入ってくれていた。陽介には後で御礼をしなければ。「バキッ!!」という鈍い音まで聞こえたがココは遭えて無視しよう!

【高台】
直斗は椅子に腰を降ろしたまま先程の発言を思い出しては顔を赤くしたり不安顔をしたり表情をコロコロと変えていた。
「はい!ジュース。少しは落ち着いた?」
「あっ!はい、すみません。僕らしくない行動と発言ばかりでした」
顔を下に向け、両手で持った缶ジュースを強く握りしめていた
そんな直斗を見て不謹慎かも知れないが愛おしく思った。
今まで男の子として生きてきた直斗にとって恋人を作ること事態、諦めていただろう。だから女の子だと分かっても、それは変わらない事ではないのかと…駄目元で直斗に告白したが受け入れてくれて本当に嬉しかった
「正直俺は嬉しかった。普段、恋人達がするような事は人前だと恥ずかしがるから、なるべく避けようとしていたんだ。だけど逆に不安な思いを与えてしまって…ごめん」
「そんな先輩が謝る事はありません!」
必死になって「いけないのは自分だ」と否定してくれた
「直斗が女の子らしくないって自分で言っていたけど女の子らしい所は沢山あるんだよ」
「えっ?」
突然そんな事を言われて目を点にさせていた。
「今だって彼女としてヤキモキを妬いてくれたし、こんなに可愛い姿の子が女の子じゃないて言われたらショックだな」
俺は直斗を自分の前に立たせ、腰に手を回し抱き着いた。直斗は驚き顔を赤くさせて口をパクパクさせて何か言おうと動かしていたが言葉にはならなかった。
「今日は何度か俺の所に訪ねて来てくれただろう!」
「なっ!なんで知っているんですか!!」
まさか気付かれていたとは思って無かったらしく更に顔を赤くさせ茹蛸状態になっていた。
「分かるよ!好きな子の視線だから…俺は、そういう行動の一つ一つが嬉しいんだ俺の為にしてくれていると思うと心が躍ってしまう。そういえばフードコートで直斗が言った答えをまだ言って無かったね」
真剣な顔で、しばらく見つめ合い
「直斗…大好きだよ」
の言葉をきっかけに二人は顔を近づけキスを何度もした。

【二日後・月曜日】
バレンタイン事件から二日後…
あの後、俺達はりせ達に見つかって色々と言われるのが面倒だったので一歩も家から出なかった。
だが学校があるので、そんな事を言ってもおれず憂鬱ながらも通学していた。
「月森!直斗!おはよう!!」
すると後ろから陽介が走ってきた
「あぁ、おはよう」
「おはようございます」
「二人共、元気ないな!まぁ分からなくもないが、気を強く持たないと大変だぜ」
こういう陽介の心遣いが嬉しい確かに、これからりせ達に会うのに何かしろ言われる覚悟をしなければ胃に穴が空いてしまいそうだった。
「しかし、お前と直斗が付き合っていたなんて全然気付かなかったぜ!これも月森マジックか?」
直斗は「ドキッ!」とした顔をし赤くしていたので陽介から直斗の顔が見えないように隠した。
「違うよ。事件で大変だったから言うタイミングも無かったしデートとかもして、なかっただけだよ」
それから、陽介に俺達の事を色々と聞かれてあっという間に学校に着いた。
すると校門前に、りせ達が立っていて俺達を見つけると一目散に走って来た。
「月森先輩!どういう事か説明して下さい!!」
声を上げ登校する生徒達の注目の的になっていた。
「おいおい!場所を考えて発声しなさいよ」
陽介が間に入って仲裁をしてくれた。すると後からも声をかけられ
「俺も聞きたいッスね」
完二が闘志を剥き出しに言ってきたので殴られるのではないかと思った。
今日は学校どころではない雰囲気だったので仲間達とずる休みをし、どうせならクマにも聞いて貰おうとテレビの中に集まった。
「みんなして、テレビの中に集まって何するクマか?」
さすがのクマも異様な雰囲気に気付いたのか慎重になっていた。
「聞きたいのは一つ!月森君と直斗君は付き合っているの?」
その質問に全員が俺の顔を見た隣にいる直斗ですら怖くて俺の腕を掴んできた。
俺は直斗の顔を見て意を決意し、みんなに二人の関係を話す事にした。
「俺と直斗は付き合っているよ!付き合い始めて三ヶ月になる」
陽介以外、ショックを受けていた。
「どういう感じで、そんな風になったのか聞いても良いんでしょうか?」
黒いオーラを纏った千枝に聞かれ、みんなにも「教えろ」と言われたので俺は二人が付き合い始めた経緯を教えた。

……………5分後………………

「つまり、告ったのが先輩で直斗はOKしたって事ッスね」
完二は自分自身に言い聞かせるように何度も呟いていた。
りせは号泣し、雪子と千枝は慰め合っている。陽介はクマに詳しく説明している最中だった。
「やっと、皆さんに言う事が出来ましたね」
直斗が小声で話し掛けてきた。
「そうだな…これで、堂々と手を繋いで歩いても良いんだよな」
笑顔で問い掛けると「…はい」と、恥ずかしそうに答えた。
「先生、質問!二人は何処までいった仲クマか?」
この質問で再び空気は重くなり殺気だった視線が何度も刺さった。結局、開放されたのが夕方で全員で丸一日学校をずる休みした。
その事が堂島と菜々子にもバレて、また事件に巻き込まれたのではないかと心配させてしまった。理由を話すと堂島が異常に照れた顔をし
「最近の高校生は手が早い」や「俺だって、お前位の時は…」など語っていたのが印象に残った。
その後、何度もデートをしイイ雰囲気の所で必ず邪魔が入った事は言うまでもなかった……。

END


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