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夏に雪
クラス交流会

翌日、クラスで行われた事は生徒同士の交流と学力テストだった。学力テストの点数順に番号を割り振り、その数字を担任があみだくじで組み合わせ、その組み合わせの人物と半日過ごすと言う物だった。私は頭が良い悪いで分ければ後ろの方だ。勉強は苦手だし、この学校にだって勉強に噛み付いて、本当にギリギリに入れた学校なのだ。だから、この学力テストも決して良い点数では無い。それでも、昨日に引き続き私はきっと運に見放されているに違いない。私が一緒に組んだペアの子はクラスで上位の成績の子で、この学力テストは本人は言わないだけでトップ付近ではあるのだろう、彼女の猶予の有る佇まいに私はそれを感じた。
ペアになり、隣に座る彼女に恐る恐る声を掛ける。

「えと…みやざきさん」

「都はと読み、宮崎じゃない」

「ごめんなさい…とざき、さん」

彼女は私を睨むように一瞥した後、はぁ、と私に分かるように溜め息を付いた。彼女、都崎若菜の番号と私の番号は1と10位離れている。それが彼女には気に食わないのだろう、如何にもと言うつっけんどんな態度に私は落ち込んだ。そしてそんな時に限って周りは明るく楽しげに見えてしまう。私の悪い癖なのだがどうにも、治りそうに無かった。
中々会話が弾まない中、他の生徒の会話だけが私と都崎さんの間に入って来る。あの飛び抜けた明るい声色はハルだろうか、カワイイこれ!じゃあユキちゃんだ、とまた誰かに命名しているようだ、キャピキャピとした声は私に良く響いた。
ふ、と都崎さんを見れば私では無いどこかに視線を合わせ、微笑んでいた。余りに自然な笑顔だったので、つっけんどんな態度をしている様子からは想像出来ずに、私は呆けるように呆気に取られてしまった。

「…何」

「えっ、いや、別に…」

見ていたのに気が付かれ、つっけんどんな態度は再開された。初見で此処まで嫌われる事も無いだろうにと思ったが、勉強一筋に見える彼女には私のような落第生キャラが気に食わないのだろうと、ひとり理不尽を飲み込んだ。

お喋りが全く進まない中、なっちゃんー、友達出来たよっ!とハルが近寄って来た。私は救世主が来たとばかりにハルの方に振り向き、えっ誰々!?と意気揚々に尋ねた。

「えっとねぇ、ペアになってぇ、一緒に話してたんだけどぉ、使ってた手帳がヤギのユキちゃんのヤツだったの!だから、なっちゃんはなっちゃんだけど、彼女はユキちゃんなんだよぉ!」

じゃじゃん、紹介します!とハルの後ろから現れたのは昨日私に魔法を掛けた、

「ユキこと及川綾実です。宜しく」

及川綾実、その人だった。

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あきゅろす。
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