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サビイロ契約

20

 ルザの膝の上には瞳を潤ませた珂月が乗っかっている。

「なんで飲んでくんないの……」
「今度は泣くのかよ」
「泣いてないだろ! ばーか!」
「わかったわかった、お前が飲ませてくれるなら飲むよ」

 珂月はすかさずグラスをルザの口元に持っていった。
 ルザはそのグラスをひったくり、逆に珂月の口を開けて流しこんだ。

「口移しで飲ませろっつってんだよ」
「んん? んー……」

 珂月は口いっぱいにワインを詰めこまれ、ルザの足をまたいで膝立ちになり顔の高さを合わせた。

「んー」

 珂月はルザの首に手をまわし、目を閉じてワインをルザの口に流しこんだ。
 ワインが一筋、ルザの口元にこぼれて顎に伝った。
 ワインを嚥下したルザは、舌を突っこんで珂月の口の中の甘みもあますところなく味わった。
 逃げていた珂月の舌を捕えて絡めると、拙いながらに珂月も応えて絡ませてきた。
 珂月は酔って紅潮した頬をさらに赤らめ、硬く閉じた瞼をひくつかせた。

 口を離した珂月は、ルザの口から赤い液体が垂れているのを見て、眩暈に近いなにかを感じた。

「見せつけてくれるねえ」

 一部始終を見ていたアスタルトが頬杖をついて言った。
 ルザは垂れたワインを舐めとり、珂月の腰に手をまわして密着させた。
 珂月はキスの名残で吐息を熱くさせている。
 ルザが指を口に突っこむと、なにも言わずとも舌で舐めて唾液を絡ませた。
 ときどき吸ったりしているその様子は性行為を思わせる。

「ずるいなあ、僕にもワインちょうだい?」

 アスタルトがねだるように言うと、珂月はルザの指を離してにっこり笑った。

「いいよ」

 アスタルトはルザと向き合うように珂月の背後にまわり、自分のグラスを差し出した。
 珂月は素直にグラスを受け取ってワインを含み、身を乗り出してアスタルトに口づけた。
 アスタルトは少しずつワインを飲みこみ、珂月の舌も一緒に吸った。

 アスタルトはルザのすべてを持っていきそうなキスとは違い、じっくりと隅々まで味わうようなねちっこいキスをした。
 珂月が慣れない舌の動きに翻弄されていると、不意に背後からルザの手がまわってきて体を這い始めた。
 ルザは珂月のシャツのボタンを一つずつ外していき、はだけた素肌をなでて胸の飾りをつまんだ。

「ん! んー、んうっ」

 珂月はアスタルトと唇を合わせたままびくりと体を揺らした。
 突起を指の腹で押され、小刻みに動かされると下半身に直結する痺れを感じた。
 ルザの手は焦らすようにゆっくり下に降りていき、ベルトを外してズボンの前をくつろげた。
 若干反応しかけていた中心を、そろりと下着の上からなでられ、珂月は背筋を伸ばした。

「あ……やっ!」
「ふふ、かわいい声」

 口を離したアスタルトは快感に眉根を寄せた珂月の唇を吸った。
 なぶられすぎて赤く腫れた珂月の唇は、アスタルトの唾液で光っている。
 アスタルトはいきなり珂月の下着に手を突っこみ、半立ちのものを握った。

「あっ! んっあ……あ」
「もう立ってるよ。見かけによらずエロいんだねえ。僕のキスはそんなによかった?」
「馬鹿ちげえよ、俺がそうなるようにしたんだよ」
「ルザに仕込まれたのかあ。なんていうか、妬けるね」

 ルザは珂月を膝立ちにさせ、ズボンを膝まで下ろした。
 足の自由が利かなくなり、珂月はバランスを崩してアスタルトの首にしがみついた。

「おっと」

 アスタルトは珂月の上半身を支え、くすくす笑った。
 珂月はぼうっとしていたが、不意に蕾に冷たいものが当てられて体をこわばらせた。
 ルザの指がなにか冷たいものをまとって入ってくる。

「んんっ……ふあ! あっ、あ……」
「ふふ、このワイン本当に好きなんだね、珂月。下の口からも飲ませてもらって喜んでる」

 ルザの指がずんと奥を突くたび、頭が白くなる。
 アスタルトは珂月のものを絶妙な強弱をつけてしごいた。
 自身はすでに完立ちでぐしょぐしょに濡れている。
 後ろと前を同時に責められて、珂月はひっきりなしに甘い声を上げた。

「ひあっ、あっあっ、んあ……ああっ!」
「あー、耳元でそんないい声出されると、我慢できなくなるじゃねーか」

 珂月に強くしがみつかれ、アスタルトが困っていない顔で困った声を出した。

「もうここ君のやらしい液でびしょびしょだよ。聞こえる?」

 アスタルトは珂月の耳に吐息を吹きかけながら言った。
 珂月はただ首を振ることしかできなかった。

 ルザは二本の指をばらばらに動かし、珂月の中を突きまくった。
 酒に浮かされた珂月の粘膜は熱くとろけそうで、ルザの指を嬉しそうに締めつけている。
 ルザは珂月の背中にキスを落とし、わざといいところを外してこすった。
 そうすると珂月は、無意識ながらに臀部を揺らしていいところに当てようとする。
 その姿にルザは興奮が高まるのを感じた。



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