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凡ボンリボーン!
No.08「風紀と会長」


あの恥ずかしくも、青春な出来ごとから数週間。

最近ではもう山本君のネタで友達にからかわれることも無くなって来た。

放課後、生徒会スタッフとして働いていた私は、ある人物に目を止めた。

「会長?」

並中の生徒会長だ。

まあ背は中学男子平均並で、顔も普通。
私と同じ平凡な容姿の持ち主だ。

しいて特徴を上げるなら眼鏡を掛けているところ…。

あと、これは単なる噂だが、眼鏡を外すと超美形と言うベタな話しを聞いたことがある。

とにかくその会長が、若干困った顔でグラウンドを見ていたのだ。

私の呼び声に会長は窓からグラウンドの方を指差す。

私は先輩が見ている方に視線をやった。

「あー、あ、あー」

私は思わず変な声を上げた。

……またか……

グラウンドでは、沢田、獄寺、山本君が爆発を起こしている。

あれ、なんか小さい子も居る。
てか小さい子がなんか連射して…る?
(そんな馬鹿な)

「あー、ああー」

「………」

ロケットランチャー来たぁーっ!

私は奇声を上げ、会長は眉間のシワを増やしグラウンドを見続ける。

沢田と山本君が二人、グラウンド中央に固まると、止どめと言わんばかりに四方からダイナマイトやミサイル、ロケットが飛んで来る。

………ここは日本ですよね?

「ぎゃあぁあぁ!!」

沢田の悲鳴が爆音に紛れながらもここまで聞こえて来る。


……嘘、まさか…

「山本君っ!」

私が悲鳴を上げる。
……が、煙の中から山本君が沢田を担いででて来た。

よ、良かったぁぁ〜

私は安心して肩を落とす。

「お前…もう一人はいいのか?」

会長が軽蔑の目を向けて来る。

「やっ、違いますよ!
ただ先に名前が出たのが山本君なけで沢田のことだって心配してますよ!」

「ふーん」

疑わしそうな会長の視線から逃れ、私はグラウンドを見る。

「あっ、そう言えば、一つミサイル飛んでたじゃ無いですか、あれ校舎の三階南塔から撃たれてましたよね?

てことは校舎内に部外者いますよきっと」

グラウンドもまるで隕石が落下した跡みたいになってるし…そう言って話しを反らす私の横で、会長は携帯を取り出す。


「もしもし、雲雀か?

今どこだ?商店街?

ああ、校内で不審者がグラウンドを破壊している。

直ぐに殺っちゃってくれ……ああ、頼むよ」

会長はピッと通信を切った。
殺っちゃってって、会長?

私が呆然と見ていると、会長はニヤリと笑った。

「この手の面倒ことは全部風紀に任せとけ。

喜々としてやってくれる。

それに…雲雀なら何やっても問題にならないしな…」

後任す、と言って生徒会室を出て行く会長を、私は阿呆みたいに口を半開きにして見送った。


平凡な容姿に騙されてはいけない、並盛中生徒会長様はかなりの腹黒だ!!!


私はもう一度グラウンドを見る。

そこにはもう沢田たちはおらず。
かわりに何やっても問題にならない我が校最強な風紀委員長とその部下が校門から入って来るのが見えた。

何故か指定の制服では無い黒の学ランを着込んだ、委員長以外いかにもな不良ルックの集団。

「あっ、あああー」

グラウンドの荒れように切れた委員長が暴れてる。

思わず奇声を発してしまう。


「たっだいま〜!」

「只今帰りました」

「………」

生徒会役員の皆さんが帰って来た。

私は部屋のカーテンを閉める。

「おかえりなさいっ!」


今迄のこと…見なかったことにしよう。

私はそう心に決め、生徒会の仕事を続行した。




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