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promise
No.01



ある少年を息子として引き受けた次の日、少年より少し年上の少女が彼の元にやって来た。

黒い髪をバサバサに伸ばして、とてもみそぼらしい格好の少女は、だが瞳だけは燃えるような赤い輝きを持っていた。

彼は手下たちに捕まった少女を放させた。

少女は違う。

確かに燃えるような瞳を鋭くつのらせてこちらを睨んでいるが、今までの様な兇手とは違った。

少女は彼を真っ直ぐに見つめた。

「同情であの子を引き取ったんですか?」

少女は彼が先日連れて来た少年の姉だった。

「もしただの同情で、連れて来たと言うなら今直ぐに返してください。
本当に息子として育てる覚悟はあるんですか?
預かった以上貴方があの子の親です。
親としてあの子の面倒を見て責任を果たすことを約束して貰えますか?」

彼は驚いた様に目を見開いて瞠目(どうもく)した。

少女はジッと彼の回答を待った。

少女は真剣だった。
弟はとても大切な家族だ。
それに、自分には"約束"がある。

弟をいい加減な人に預けることは出来ない。

少女の強い意志が、二人しか居ない室内の空気を張り詰めさせていた。

彼はしばらくただ少女の瞳を見つめ、その意志をしっかりと受け止めた。
次いで口を開く。

「私はマフィアボンゴレ九代目だ。
一度預かったからには、責任持って立派にあの子を育てる。

約束しよう、あの子は…ザンザスは私の息子だ」

そう言った九代目の瞳は少女と同じ強い意志の光りを宿していた。

少女はその瞳と交えて、顔を下にうつむかせた。
一瞬揺らいでしまった瞳を見せたく無かったからだ。

「……わかりました。
弟を、ザンザスをこれからよろしくお願いします」

少女はぺこりと頭を下げて、部屋を出て行こうとした。

「待ちなさい」

九代目はその時少女を引き止めた。

自然に取ったその行動は、ボンゴレの血を受け継ぐ九代目の超直感がそうさせた。

この子はボンゴレの力になる少女。
いつか必ずボンゴレにとって大きな力を持つ。

九代目の直感がそれを感じ取った。


「君の名前は?」

扉の前で顔だけ振り返った少女は少し眉根を寄せた後、ちゃんと身体を九代目に向かしてもう一度頭を下げた。

「失礼しました。
私の名前はフィナです。
それでは、さようなら」

フィナ…九代目は頭の中で少女の言葉を繰り返した。

「フィナ、君はまたここにやってくるね?」

とってに手を付けて扉を開こうとしていたフィナに九代目はニッコリ微笑んでそう聞いた。

フィナはとってに手を添えたまま固まった。

反対の手で胸を押える。

やはり…そうなるだろうか。

フィナは自分に問うた。

自分には"約束"がある。
"大切な約束"が。

その為には、私はここに来るべきなのかと。

目を閉じて浮かぶ優しい笑顔にフィナは決めた。

「そうなるでしょう。
それは今では無いけれど確実に。
いつか私は此所にまた来ます。
………それでは、さようなら」

フィナはもう振り返ること無く扉から出て行った。

「さようなら。
また、未来で」

一人残った九代目はそう呟いてフィナに別れを告げた。



そう遠く無い未来、やって来るだろうフィナを思い描いて…





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あきゅろす。
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