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オリジナル(BL)小説
勇祐の華麗な登校


風間 浩二(かざま こうじ)は腕時計を確認して溜め息をついた。

勇祐遅い、またか…


浩二は勇祐の友人だ。

自分にあれほど、「俺は漢らしくなるっ」とか言っていたのに…
やはり遅刻するのか友よ…

彼は今日から毎朝通う弥佳(やよい)学園の校門で勇祐を待っていた。

入学式まであと5分を切った。
そろそろ行かなくてはならない。

周りの登校してくる生徒も少なくなって来ている。
浩二は校内へと顔を向けた。


その時。

凄まじいブレーキ音が背後から響き、校門近くに居た生徒たちは驚いて門の方を見る。
慣れた顔で浩二も顔を後ろに向けた。

「間に合ったぁぁ。
ありがとう姉さん」

「次は無いからね!」

勇祐はここにいる生徒たちの注目に気付くこと無く、走り去って行く姉の車に手を降っている。

その姿はまるで小さい子供が嬉しそうに母親を見送っている様に見える。

「なあ、あの子可愛いくね」

「ああ」

「なんで小学生が制服してんのー」

周りから聞こえて来る声に浩二は笑ってしまう。

ちっとも目標に近付けていない。


「勇祐、おはよう」

「あっ、浩二っ!
…よ、よう!
悪かったな待たして」

こちらに気付いた瞬間、パアッと周りに花が咲くような笑顔を見した後、意識するように片手を上げて"漢らしく"挨拶する勇祐に浩二は思わず噴き出す。

「あっ、笑わないでよっ!
折角僕が漢らしく振る舞ってるのに!!」

ぷんぷんと怒る勇祐に、道は長いなと浩二は思った。

「悪い、悪い、言葉元に戻ってるぞ」

「あっ!!」

しまったと言うように固まる勇祐にやっぱり浩二は笑ってしまう。

そんな浩二は、女子の視線を集めている。

「うぅ〜
浩二は格好良くていいよねーっ」

爽やかに笑う浩二の顔は俗に言うイケ面だ。

ノンフレームの眼鏡を掛けていて、知的にも見える浩二は、中学生の時から女子にモテていた。

ぶーっと顔を膨らまして拗ねる勇祐に浩二は笑うのを止めて頭を撫でてやる。

「ほら、これから入学式だ。
そんな顔すんな。
"漢らしく"だろ?」

勇祐は顔を上げる。

そうだ、これから高校生だ!

「うん!
あ、じゃなくて。
おうっ!
行くぜっ!」

「ああ」






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あきゅろす。
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